新興市場の主要指数が連騰記録を継続している。「mixi」のミクシィや「アメーバブログ」のサイバーエージェント、「GREE」のグリーなど、ネット関連株が多く上場する東証マザーズのマザーズ指数は3月19日まで6日続伸。3月17日には1月18日に付けた2010年の高値を更新した。楽天をはじめ、新興市場でもっとも多くの企業が上場するジャスダックでは、日経ジャスダック平均が同日まで11営業日連続で上昇。同じく大証のヘラクレス指数も11日続伸を記録している。
新興市場上場銘柄に特別ポジティブなニュースが出たわけではない。東京市場全般が停滞ムードに包まれる中、新興市場に何が起きているのか。
もともと、新興市場を中心とする小型株の指数は連続で上昇しやすい性質を持つ。時価総額の大きい銘柄が少なく、一部の銘柄の動きに左右されにくいという指数構成上の理由もあり、上げるときも下げるときも“連勝連敗”となる癖がある。
ここにきての連勝の背景にはカレンダー上の理由が大きい。3月期末は企業同士が株式持合いを解消するための売りが出やすい時期であり、例年需給環境は芳しくない。しかし、歴史が浅く、若い企業の多い新興市場上場銘柄では株式持ち合い自体をしている企業が少なく、持ち合い解消売り圧力がほとんどない。東証1部市場上場銘柄が需給悪懸念から動きづらい環境となる中、その影響が少ない小型株に投資家の資金が流入しているのだ。
また、2010年に入って以降、東証1部市場は堅調に推移してきた。一方で新興市場は人気を奪われる格好で低迷。IPO銘柄もなく、注目を集めにくかったこともある。2月中旬以降は東証1部市場でも主力銘柄より低位の材料株人気が先行。かつて仕手株などと呼ばれた銘柄が目先の資金を集めて日替わりで物色された。
こういった低位材料株を物色する資金は、新興市場で値幅取りを狙う資金の動きと似通っており、新興市場が3月まで停滞してきた背景には低位材料株の人気継続による資金分散が挙げられていた。ここにきてその低位材料株の勢いが一服。相対的に出遅れ感の強まっていた新興市場上場銘柄に資金が流入し始めたのだ。
3月16日の取引終了後には「モバゲータウン」のディー・エヌ・エーが2010年3月期業績計画の上方修正を発表。これを受けて3月17日は主力ネット株への物色意欲が一気に高まり、マザーズ指数は2010年の高値を更新した。指数上昇のけん引役となっている銘柄をあえて挙げるのであればサイバーエージェントだろう。3月16日には、3月8日に付けた2009年来の高値である17万6200円を更新。3月17日のマザーズ指数の2010年高値更新を先導した。逆に言えば高値圏で推移する主力銘柄はサイバーエージェントだけ。過熱感は乏しく、見直しの原動力となっている出遅れ感はまだ強い水準にある。
指数の連騰で数字上は過熱感も浮上しているが、市場の実態はまだ出遅れ感が強い。グリーなど業績面にも安心感がある銘柄は多く、新年度以降も堅調な推移を続ける可能性がある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」