ニコニコ動画が始まって、12月で丸3年が経過しようとしている。
会員数は10月末時点で1461万人、うち有料会員数は55万人となり、1日の平均ページビューは6070万PV、1日平均訪問回数は229万人、1訪問あたりの平均滞在時間は37.2分と、依然として順調な成長を続けている。
ただし、回線費用やサーバコスト、ニコニコ生放送の番組制作費用などが重荷となり、赤字の状態が続いている。また、初音ミクなどのブームが生まれた一方で、動画のジャンルが偏ってしまい、結果としてユーザーの広がりが限られるという課題も抱える。
そこで10月29日にサイトをリニューアルし、名称を「ニコニコ動画(9)」にするとともにいくつかの機能を追加し、改善を図ろうと試みている。
しかし運営元のニワンゴ取締役で、元2ちゃんねる管理人「ひろゆき」として知られる西村博之氏は、いまのニコニコ動画に対して「いろいろ不満がある」と話す。それは運営組織が大きくなり、機能が増えたからこそ生まれたジレンマでもあるようだ。西村氏はニコニコ動画の運営ではアドバイザー的な立ち位置にある。
「こういうのは良くない、というのは誰かが言わないと止められない。『いや、実は大丈夫なんだよ』と言えるのであれば、言ってもらって構わない。ダメなものはダメだと言えなくなると、だいたいそういう会社は廃れていく」――こういって西村氏は、最近のニコニコ動画に感じていることを語ってくれた。
1つはトップページの問題だ。現在のニコニコ動画のトップページに並んでいるのは、公式チャンネルから選ばれた「おすすめ」「特集」や、運営側が提供している生放送番組「とりあえず生中(仮)」、ニコニコ動画内で開催されているイベントの告知などが中心だ。
西村氏は「一般化といっているが、トップページの8割くらいは“広告”(※編集部注:公式チャンネルの動画露出部分は広告として販売しているわけではないが、企業が提供する動画という意味で西村氏は“広告”と呼んでいる)ですからね。いきなりトップページに行って広告しかないようなところを誰が見るんだろうと毎回僕は疑問なんですけど」と手厳しい。公式チャンネル内で面白い動画があったときにだけ表示するのは良いが、必ず公式チャンネルの動画を載せないといけないとなると、つまらないものまで全面に押し出さざるを得ない、という点に不満を感じているようだ。
ニコニコ動画は長らく違法コピー動画の存在に悩んできた。きちんと許可を受けたコンテンツを増やし、コンテンツプロバイダーの理解を得るために、ニワンゴは公式チャンネルの開設に力を入れてきた。その結果、テレビ局や音楽会社、ゲーム会社などが計199チャンネルを開設し、多くの公式動画を提供するようになった。ただ、その一方でユーザー目線で見た場合には、トップページの魅力が損われるという副作用が生まれてしまった。
この原因について西村氏は、ニコニコ動画の運営に携わるスタッフが増え、組織が細分化されてしまったことで連携がうまくいっていない点を挙げる。「『こういうサービスだからこういう導線が必要』というような、全体に筋が通った形になっていない」(西村氏)
ニコニコ動画の運営長と呼ばれる中野真氏も、「たくさんサービスができてしまっているので、きちんとまとめなおさないといけないとは考えている。改善しなければならない点はたくさんある」と認める。
もう1つ西村氏が不満に感じているのが、ニワンゴが提供する生放送番組の位置付けだ。現在毎週月曜日から金曜日の21時から、タレントなどが出演してトークを繰り広げる「とりあえず生中(仮)」という番組を放送しているが、西村氏は「生中が単なる劣化したテレビ番組になっている」と疑問を呈す。
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