私は米国時間3月13日、Mozilla Corporationの最高経営責任者(CEO)であるJohn Lilly氏、そしてエンジニアリング担当バイスプレジデントのMike Schroepfer氏と1時間を過ごした。2人と話す中で、いくつかわかったことがある。例えば、私は以前、Mozillaは「金儲けに貪欲な人物」をもっと雇うべきだという主張を行った。13日に会った時、この件についてLilly氏から「われわれにはあなたが考えているよりも多くの、金儲けに貪欲な人物がいる」と反撃された。
Lilly氏の言わんとするところは、Mozillaも普通の営利を目的としたオープンソース企業の1つにすぎない、ということではないし、実際問題としてMozillaはそうした企業とは違う。発言の意図をさらに明確にしようと、5人いるMozillaの経営幹部のうち、4人は起業家だと、Lilly氏は指摘した。言い換えると、Mozillaは競合するプロプライエタリ企業と比べると規模が小さい(そして、オープンソースのプロジェクトとしては規模が大きい)ものの、Mozillaのチームとコミュニティーは巧みに構築されており、競争にも十分対応できる。近い将来につまずいて、Microsoftの足元にひざまずくようなことにはならない、というわけだ。
ただし、競争のまっただ中にあっても、Mozillaが真っ先に考慮するのはあくまで利用者であり、競合他社は二の次とされてきた。Lilly氏も私に対し、次のように述べている。
われわれがいつも問いかけてきたのは、通常とは違ったやり方で成長するにはどうすればよいのか、ということだ。われわれの場合、常にまずはユーザー体験を最優先させ、金銭についてはその後に考える。
そしてこの「ユーザー体験」が、現在のブラウジング体験を超えた進化を始めようとしている。この日の話の中で最も興味深い話題は、ウェブ上で起きることの大部分を包含するプラットフォームとして、今後、Mozillaの「Firefox」がさらに力を持つようになる、というトピックだった。「Facebook」「MySpace」「iPhone」など、プラットフォームと目される他のものなど、忘れてしまってもいい。Firefoxが市場を最も大きく揺るがすウェブプラットフォームとなる可能性はかなり高いということだ。その理由を説明しよう。
Mozillaの持つ可能性を理解するには、その歴史を少し振り返っておくといいだろう。既に2005年中ごろの段階で、Mozilla Foundationは、Googleから月額およそ400万ドルの収入を得ていた。しかもこの時、有償で働く従業員はわずか10〜12人しかいなかったのだ。オープンソース企業であるかに関係なく、規模の小さい新興企業ならどこも、あらゆる手を使って達成したいと思う売上額だ。しかもこの額を、Googleとの関係によって、Mozillaはほぼ労せずに稼ぎだしていた。
そのような状況でも、非営利組織として運営を続けるのは難しいことだった。資金こそたっぷりあったものの、持続可能なビジネスの確立方法について、Mozilla Foundationには明確なアイデアがなかった。実際、Mozilla Foundationの利益は非常に多額で、これを非営利団体に関するカリフォルニア州の税法が定める枠内に抑えることは、困難になる一方だった。というわけで、2005年にMozilla Corporationが誕生した。
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