2008年米大統領選--各候補のテクノロジ政策を比較

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、藤原聡美、中村智恵子、佐藤卓、長谷睦2008年02月08日 12時27分

 最もテクノロジに好意的な米大統領候補は誰だろうか?

 簡単に言ってしまえば、その答えは「問題による」ということになるだろう。たとえば、ネットの中立性という考え方を支持し、ブロードバンドプロバイダーによる「差別的な」措置を罰する包括的な権限を米連邦通信委員会(FCC)に手渡してもいいと思っているのか? あるいは、いわゆる「フェアユース(公正使用)」の権利を守るよう、著作権法を改正することを支持するか?といった、さまざまな問題がある。後者の問題については、プログラマーやコンピュータ科学者の多くは賛成しているが、ほぼすべてのソフトウェア企業やビデオゲームメーカーが反対している。

 大統領選の予備選挙や党員集会に参加しようと考える読者の判断を手助けするため、われわれは、テクノロジ関連の問題に対する有力候補者たちの見解を、以下の表にまとめてみた。

 お決まりの反対意見が出てくる前にあらかじめ断っておくが、経済政策やイラク占領政策など、テクノロジよりもっと差し迫った重要問題がほかにたくさんあることは、われわれもわかっている。また、大統領候補を評価する方法が、ほかにもたくさんあることも知っている。しかし、この表は、連邦政府が果たすべき役割についての考え方など、各候補の政治家としての核となる信念を垣間見るのに有効な手段となるはずだ。これは、CNET News.comの記事という枠組みを超えて、はるかに大切なことだ。

ネット中立性関連法案 通信事業者によるプライバシー違反行為の免責 DMCAの公正使用に関する改正 Real ID Actへの支持 ISPに対するデータ保持の義務化 ネット課税の恒久的禁止 H1-Bビザ発給枠の拡大
Clinton氏 強く支持反対無回答場合により支持無回答無回答おおむね支持
Huckabee氏 場合により支持*無回答無回答無回答無回答おおむね反対*無回答
McCain氏 反対おおむね支持無回答強く支持無回答支持強く支持
Obama氏 強く支持反対おおむね支持反対反対支持おおむね支持
Paul氏 反対強く反対おおむね支持強く反対反対支持支持
Romney氏 無回答無回答無回答支持*無回答支持*支持*

 この表は、1月に掲載したCNET News.comの特集記事「2008 Voters' Guide」の内容をもとにしている。表の作成にあたっては、有力候補者全員と連絡をとり、各候補の回答をそのまま掲載した。ただし、Romney氏とHuckabee氏からは1カ月以上の猶予を与えたにもかかわらず回答がなかったため、両候補の見解は、他のニュース報道から可能な限り情報を集めたものだ。したがって、われわれの解釈が含まれていることを示す印として、2人の「回答」にはアスタリスク(*)を付けている。

 いずれにせよ、この表を見ておそらく最初に気がつくのは、回答を寄せた候補者でさえ一部の質問を無回答にしている点だろう。これは非常に残念なことだ。次の大統領を目指すのなら、あいまいな態度を示すことなく回答できてしかるべきなのだが。ただし、Obama氏とPaul氏だけはすべての質問に回答しており、彼らの率直な態度は賞賛に値する。

 Clinton氏は、ネット課税の恒久的禁止を支持するかというわれわれの問いかけに対し、質問をはぐらかした(Clinton氏は一時的凍結を支持するとだけ語ったが、これは当方の質問に対する答えになっていない)。McCain氏は、ユーザー行動のデータ保持をISPに義務付けることを支持するかという質問に対し、「前向きで最適な方法」を模索したいとだけ答えた。このあいまいな回答が、この件に明るくない議員のものであれば大目に見ることもできたかもしれないが、この分野のインターネット関連法案を監督する上院委員会の前議長だった人物の回答としてはいただけない。

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