サンフランシスコのレストラン経営者、Mike Pierce氏には毎朝の日課がある。それは、銀行の預金残高と電子メール、そしてウェブサイト「Yelp」をチェックすることだ。
Yelpというのは急成長中のソーシャルネットワークで、地元の店舗など小規模ビジネスに関して、ユーザーによるコメントや情報を公開している。Pierce氏は、サンフランシスコの騒々しいミッション地区で2年前からレストランMaverickを経営しており、YelpにはMaverickについて顧客が書き込んだ252件の批評が載っている。Pierce氏は、たいてい批評を全部読み、常連客からの賞賛や批判に基づいてレシピを変更したり、さらには給仕スタッフを解雇したりもする。
「真剣に受け止めている。スタッフを解雇するのは嫌だが、こうした批評を見ると、いつも接客サービスが悪いと指摘されているのだから、解雇するのもしかたないと思える」とPierce氏は7月下旬に、インタビューに応えて語っている。
実際、Pierce氏は批評を非常に真剣に受け止めており、客の前でワインをこぼしたようなときに、「私のことを『Yelpしたり』しないだろうね?」と冗談を言うことで知られているくらいだ。
たしかに、ロサンゼルスとか、Yelpが3年前にサイトの運営を開始したサンフランシスコのような都市では、Yelpは地元の人が「Yelpする」という動詞として使うほどなじまれていると言えるかもしれない。Yelpは、「CitySearch」のような大手ローカルシティガイドと比べると、規模はまだ小さいほうだが、良くも悪くも小規模ビジネスの経営者の注意を引いているし、これらの大都市のいたるところにいるトレンディーな人たちや素人批評家の投稿熱をかき立てることにも成功している。そういうわけで、Googleが「ウェブ検索をする」という意味の動詞になったのと同じように、一部ではYelpが動詞になって「地元の人に批評を書き込まれる」ことを意味するようになっている。
サンフランシスコが本拠地のYelpは、主にこの1年で勢いづき、シアトルやシカゴなどの都市にも進出し、サンフランシスコやロサンゼルスではブームを作り続けている。調査会社のComScoreによると、2007年6月には、Yelpのユニークビジター数は前年同月と比べて124%増加し、140万人を突破したという。
(Yelpが「Google Analytics」を利用してビジターの追跡調査を行ったところでは、5月のビジター数は前年と比べて400%増加し、推定で月400万人を超える。同社によれば、現在、サイトに投稿された批評は100万件を超えている)
一方、ComScoreによると、6月のビジター数は、歴史の古いシティーガイドのCitySearchが前年比15%増の約1570万人で、大手ローカル情報サイトの「Yahoo Local」が前年比12%減の2950万人だった。
Yelpの成長はGoogleの影響もあるかもしれない。両社は、マップサービスで相互に協力している。YelpはGoogleの開発者ネットワークに参画しており、Googleのアプリケーションプログラムインターフェース(API)を使って自社サイトでGoogleのローカルマップを提供しているし、Googleは、自社のマップサービスにYelpの批評を掲載している。Yelpの広報担当者、Stephanie Ichinose氏は、両社の提携について詳細は明らかにできないと語った。
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