サンフランシスコ発--MicrosoftとGoogleを比較すると、Microsoftは企業としての歴史が長く規模も大きい。反面、ビジネスで先を行くのは常にGoogleだ。調査会社のGartnerに所属し、両社の動向に詳しい2人のアナリストが、そろってこう述べている。
その1人、Gartnerのフェローでバイスプレジデントを務めるDavid Smith氏は、当地で米国時間4月25日に行われた「Gartner Symposium ITxpo 2007」内のセッションで発言した。その中で同氏は、無料で利用できるウェブベースの生産性アプリケーションを提供するGoogleの狙いは、広告収入増加に向けた新たな手段の模索、およびGoogleの中核をなす検索広告ビジネスに対するMicrosoftの関心をそぐ点にあり、Microsoftが大企業から得ているITマネーを直接奪い取ることにはそれほど注力していないとの見解を示した。
Smith氏の見解とはまったく逆の内容の報道もあるが、MicrosoftがGoogleに追いつこうと躍起になっているのに対し、GoogleはMicrosoftの背中を追うのにそれほど懸命になってはいない、とSmith氏は述べる。
「Microsoftが広告業界での地位確立を目指しているのは明らか」であり、そのために同社は20億ドルを投資すると宣言している、とSmith氏は指摘する。しかし、同氏によると、Microsoftは現在、「重大な局面」にさしかかっているという。
Smith氏は「Microsoftが最大の影響力をふるった時代は去った(中略)Microsoftはもはや、皆が恐れる企業ではない」と言い、ソフトウェア界の巨人も、今では敗者と見られることが多くなったと付け加えた。だが、市場での優位をめぐる争いはまだ終わったわけではない。「Microsoftは、競合相手からの攻撃にさらされた時に最高の力を発揮する傾向がある」とSmith氏は述べている。
Smith氏は、GoogleがMicrosoftの得意としていた領域へ進出する一方で、MicrosoftがGoogle製品と競合するWebサービス「Live」で苦戦を強いられている点にも触れた。Microsoftは「(Liveは)期待されたほどのサービスを提供できない状態にあり、Microsoftもその点は認めるはずだ」とのことだ。その理由としてSmith氏は、Microsoftが『Windows Vista』と『2007 Microsoft Office』の出荷に全精力を集中させていたことを挙げる。Microsoftは「Liveのマーケティング、およびMSNやWindowsとの連携で非常に苦労している」と同時に、組織の再編や幹部人事についてもさまざまな問題を抱えているという。
Web 2.0関連の技術やAjaxといったウェブ開発技術の台頭によって、「Microsoftの主要製品が持つ重要性が低下することが、同社にとって一番の脅威だ」とSmith氏は指摘した。
一方、Gartnerのバイスプレジデント、Alan Weiner氏も、主要製品であるWindowsとOffice以外の分野に目を向けると、Microsoftはさまざまなメディア事業をうまく組み合わせられない状況にあると述べている。「Microsoftは膨大な数のピースを抱え、そのピースをつなぎ合わせる一貫した戦略を探しているところ」であり、ウェブ検索の分野でGoogleに対して巻き返しを図ろうとしているのだと、Weiner氏は言う。
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