ワシントン州レドモンド発--Microsoft会長のBill Gates氏は米国時間5月3日、検索およびインターネット広告の分野でGoogleにリードを奪われていることを認めつつ、同社が「Googleに嘘をつかせない」ようにすると公約した。
MSNの大手広告主らを前に講演したGates氏は、Microsoftが他社を追う立場を好んでいないと述べた。
「Microsoftは常に他社をリードし、画期的なものを出していたいと考えている」とGates氏は述べた。だが、広告企業の幹部でトークショーのホスト役も務めるDonny Deutschと行った壇上でのインタビューのなかで、Gates氏はMicrosoftがいくつかのミスを犯したことを認め、一部のケースでは取り組みを率いるリーダー役の人選を誤ったと述べた。
Gates氏はまた、Googleが「検索および広告に関して素晴らしい仕事をしてきた」と述べて、ライバルの功績を認めた。しかし同氏は、現在の検索にはまだ宝探しのような部分があまりに多いとする自分の考えを繰り返し、もっと優れたものを準備すると約束した。
「われわれは、数多くの分野で(Google)より優れた活動を展開することにより、Googleに不公正な活動をさせないようにする」(Gates氏)
1年に1度の「MSN Strategic Account Summit」は2006年は5月4日まで行われたが、このイベントでMicrosoftは、広告主への売り込みに磨きをかけると同時に投資家を安心させることを狙いとしていた。Microsoftは先ごろ、MSNや、Windows Liveを中心とする新規ビジネスに予想よりも約20億ドルほど多く投資する計画を発表したが、それ以来同社の株価は大幅に値下がりしていた。
MSNの幹部らは3日に、同社が検索分野やWindows Live関連で開発を進めているサービスの一部を披露した。あるデモのなかでは、MSNのバイスプレジデントBlake Irving氏が「MSN Messenger」をソーシャルネットワーク用ツールの要素を多く持つものに転換するMicrosoftの取り組みに焦点をあて、現在オーストラリアでテスト中の機能を披露した。この機能を使えば、友人リストに登録されている別のユーザーのリストが両者の承諾の上でみられるようになる。
Microsoftはまた、MSNの独自コンテンツを強化する計画も発表した。「MSN Originals」と名付けられたこの新たな取り組みの第1弾として、同社は「The Office」や「The Biggest Loser」などのテレビ番組を制作するReveilleと提携し、Reveilleが新たにつくるインターネット用番組を支援していく。
Gates氏によれば、Microsoftはコンテンツに関して新しい立場をとろうとしているわけではないとし、同社がこれまで常に何らかのコンテンツをつくってきたが、その大半はコンテンツ制作を専業とするパートナーとの提携を通じたものだったと指摘した。「われわれは毎月コンテンツ企業との新しい提携を発表することになるだろう」(Gates氏)
Microsoftが、MSN Strategic Account Summitの第1日めに披露した新しい技術はそれほど多くなく、ほとんどがMSNとWindows Liveに関連するもので、それらはこれまでにデモを行ったものか、すでにベータ版がテストされているものだった。
また、自社のテリトリーに関しても、Microsoftは一部の広告業界関係者から鋭い質問を受けた。これらのゲストは、他社のインターネットサービスが大半の消費者の心をすでに捉えていると指摘した。
講演者の1人として壇上に上った広告業界の幹部Rishad Tobaccowala氏は、GoogleがMicrosoftのテリトリーに侵入しようとしている理由の1つとして、Googleのアイデアを実現するスピードを挙げた。
それに対して、MSNのIrving氏はMicrosoftが一部の分野で他社の後を追いかけていることを認めた。
「われわれは、この分野にあまり馴染みがない」(Irving氏)
しかしGates氏は、Microsoftを見限るのはまだ早いと述べた。
「これはわれわれの力が過小評価されている珍しいケースだと思う。そういったことはめったに起こらない」(Gates氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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