1997年は、「Mac」の熱狂的信奉者たちを迎え入れる場所がAppleだけではなくなった年--Microsoftという選択肢が新たに加わった年だった。
米国時間2月14日、Microsoftがアイオワ州の独占禁止法に違反しているとして起こされた集団訴訟でようやく和解が成立したが、この裁判に提出された文書によると、当時のMicrosoft幹部でMacintosh Business Unit(MacBU)を立ち上げたBen Waldman氏は、「Microsoft Office 97」のMac移植プロジェクトを是が非でも成功に導くために、厳しい戦いを続けていたという。
アイオワ州の法廷に提出された電子メールのコピーから、Waldman氏がMicrosoftの共同創設者Bill Gates氏にメールを送り、Mac版Office 97(訳注:製品発売時の正式名称は「Microsoft Office 98 Macintosh Edition」)を完成させること、そして、Microsoft製Mac製品のマーケティングと販売に組織的に取り組むべきことを情熱的に訴えた様子がうかがえる。
Waldman氏による嘆願の6カ月前、Microsoftは、Mac版「Microsoft FrontPage」とOfficeの新バージョンをリリースし、さらにMacをターゲットにしたビジネスユニット、MacBUを立ち上げていた。
Waldman氏はメールの中で、特許のクロスライセンス合意に関する事項を含むより広範囲な問題についてのMicrosoftとAppleの交渉が、いかに困難でフラストレーションのたまるものであろうと、Mac版Office 97は完成させねばならない、と主張した。
両社間の交渉は、当時のApple最高経営責任者(CEO)Gil Amelio氏の下で難航していたが、1997年7月にSteve Jobs氏が暫定CEOとして復帰したことで、大きな進展がみられた。
Waldman氏がメールを送ってから約6週間後、Microsoftは、Microsoft Officeや「Internet Explorer」の次期バージョン、およびMac版の各種開発ツールを開発、出荷するために、Appleの要請に応えて1億5000万ドルを同社に出資すると発表した。
しかし、この出資の前には、Mac版Office 97が実現するかどうかもはっきりしていなかった。
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