「Windows Vista」といえば、バグだ。次から次へとバグが出てくる。
延期が重なるOSのVistaでは、「Beta 2」で不具合が見つかるのは疑いの余地がない。しかし、問題は、果たして致命的な不具合があるかどうかだ。
バグをつぶす時間はある。しかし、コードを11月までに仕上げ、1月には製品を公開するという、あらためて設定されたこの目標をMicrosoftが達成するためには、重大な問題は何であれ、回避しなければならない。
インストレーションについての問題や、バッテリー寿命、パフォーマンス、そしてアプリケーション互換性などに関連した種々の問題が既に議論されている。しかしアナリストらは、Microsoftが今どの段階にいるのかを判断するのは時期尚早であると述べている。
「現時点では、それらのバグについて、われわれは十分に把握しているとは思えない」と調査会社GartnerのアナリストであるMichael Silber氏は言う。
しかし、今後数週間にわたり、Microsoftが先週公開したテストバージョンの上で何が動作して何が動作しないかについて、議論がさらに盛んになりそうである。テスト参加者が無数にいるユーザーにまで拡大された場合、議論はとりわけ活発になるであろう。
同社は複数の問題を認識しており、これからも出てくると予想している。例えば、Windows XPアプリケーションのうち何の修正もなしで動作するものは40%にすぎない。残りの多くはわずかに調整が必要である。これら非互換性の多くは、Microsoftによる回避策あるいはアプリケーションメーカーからの協力を得て既に修正されている。
ドライバが用意されていないハードウェア製品は依然多い。また、数多くの領域、特に新搭載のデスクトップ検索機能などでは、同OSのパフォーマンスをまだ向上させたい、とMicrosoftでは願っている。
Microsoft幹部は今週、厳しい締め切りに間に合わせるため、Beta 2は十分な進歩を遂げていると述べ、楽観的な見方を示した。しかし、最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏は、危険を回避するため、日本でのスピーチでは断言を控えたようだ。一方、同社の外においては、より悲観的な見方がなされている。例えば、Gartnerは、早くても2007年第2四半期まではVistaがリリースされることはないと予想している。
MicrosoftのコーポレートバイスプレジデントでWindows Clientの開発責任者を務めるChris Jones氏はインタビューのなかで、予想されるバグを修正する時間は十分ある、と語っている。だが重要なのは、大幅な修正を必要とする機能の有無だ。
Jones氏は、「もし、そのような機能が出てくれば、かなり厳しい判断を下すことになる」と語る。その際には、この問題が残りの時間内に解決可能かどうかを早急に見極めることになる。もし無理なようであれば、その機能を削除するか、Vistaの出荷をさらに遅らせるかのいずれかになるという。
とは言うものの、ここまでテストをしてきたのだから、大きな問題があればMicrosofもおそらく分かるだろう、とJones氏は語る。「このようなケースが見過ごされている可能性は非常に低いと思う」(Jones氏)
ただし、特定の機能が動作しても、その操作性がユーザーの期待に応えるものでないと、評価はあいまいになる。
困難が予想される新機能の1つが、「User Account Control」だ。このセキュリティ機能は基本的に、Vistaがフル管理者権限で動作する時間を短縮するよう仕組みになっている。同システムは標準権限で動作し、重要な変更を加えるときはユーザーにパスワードや確認を求めるようになっている。
だが現在では、そのようなダイアログボックスがどちらかといえば頻繁に表示されるようになっている。そこで、Microsoftでは、ルールのチューニングと回避策の準備に取り組んでいる。例えば、プログラムの多くは、起動時にアップデートをチェックするよう設定されている。これまでは管理者の許可がなければチェックできなかったが、Microsoftではこれを変更し、既存のアプリケーションが標準ユーザーモードを使って自動的にアップデートするようにしているところだ。
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