同社では、アプリケーションの互換性問題の多くでも同様のことを行っている。例えば、OSのバージョンを起動時にチェックするWindowsプログラムの場合、システムがXP以外の値を返してきたら、これらのアプリケーションは起動しない。そこで、「shim(シム)」と呼ばれる回避策において同社は、システムが実際はXPであるかのようにアプリケーションを本質的にだましている。
ただし、これらは互換性対策としては簡単なものだ。むしろ、Windows内部とコミュニケーションを取るファイアウォールやウイルス対策ソフトウェアなどの問題の方が難しい。Jones氏は、「カーネルをいじれば、これらを壊してしまう」と言い、同社がかなり以前から、このようなソフトウェアを開発する主要メーカーと協力していることを付け加えた。
Microsoftがテストを拡大する場合、直面するもう1つ課題が、広範囲に及ぶ問題と限定的な問題を切り分ける作業だ。同社は、歴史的にこの作業で苦しんできた。だが今回、同社は期限内の作業終了に向け、時間を大幅に短縮するための新技術に期待している。
Windowsの経験が長いJones氏は、「これにより、品質と、得られるフィードバックの量、そして対応能力が大きく変わった」と語っている。
これまで何年もの間、Windowsではアプリケーションが異常終了すると、Microsoftにその問題を報告して良いかどうか尋ねていた。そして、その被害範囲を知ることで、同社はさらに大きな問題に取り組むことができた。
VistaにおいてMicrosoftは、この手法を適用する分野を拡大した。Microsoftは、Vistaユーザーがドライバのないデバイスを使うときや、対応しない、あるいは管理者権限を絶えず要求するプログラムを実行しようとしているときなどを、自動的に知ることができる。
Microsoftが今回直面するであろうもう1つの課題が、Vistaの個々の問題が以前より大々的に公表されるようになる、という事実だ。「Windows 95」のときは、CompuServeフォーラムでの技術マニア同士の会話に限定されていた。だが今日では、ブログがあり、話題がすぐに記事になる。
「10人中9人が素晴らしい感想を持っても、残りの1人が(ネガティブな感想を)文章にすれば、その認識を変えるのは難しい」(Jones氏)
だが全体的に見れば、早期に自動的に集まったフィードバックのおかげで、新技術は役に立っている、Jones氏は語っている。
「XPのときと比べると、作業は予定より早く進んでいる」(Jones氏)
Microsoftは既にメリットを感じている。
Microsoft社員の自宅にあるXPマシンをアップグレードすることで実施された先ごろのバグ探しでは、これらのXPマシンをVistaにアップデートできないことが判明し、Windows部門トップのJim Allchin氏が気をもんでいた。だが結局は、この問題の原因が2つのバグだったことが具体的に判明している。
Allchin氏は「より多くの人に使ってもらう必要がある」と述べる。「現在最も重要なのは、フィードバックを迅速に得ることだ」(Allchin氏)
GartnerのSilver氏は、重要なのは、バグではなく、完成度の低い機能による問題がるかという点だと述べる。同氏によると、「解決すべきは、バグではなく、設計上の問題だ」という。
Vistaの熱心なファンサイトLonghornblogs.comを運営するRobert McLaws氏は、Beta 2バージョンは、最近のビルドとしては適度な改良にとどまっているようだが、バグの改良としてはBeta 1を上回っていると述べている。
それでも、McLaws氏によると、Vista Beta 2を稼働する同氏のマシンでは、重大なバッテリー寿命問題だけでなく、Hewlett-Packard製プリンタ使用時に不具合が発生しているという。また、「アプリケーションの互換性は依然大きな問題だ」と述べている。
とは言うものの、同氏は、熱心なファンたちにVistaの性能を試すことを勧め、「全体的な安定性には大変驚いた」と述べている。
業務用途に関していえば、特に既存マシン上においてでも、性能について企業は心配する必要はない、とSilver氏は述べている。むしろ、Vista上で主要業務アプリケーションが動作するかについて、企業は注意した方が良いと同氏は語る。
そして、大きな遅延を発生するほど大きな問題が発生するかという質問については、様子を見るしかない。
「すべては良い兆候だ」とAllchin氏は先週、インタビューに答えて述べた。「そして、わたしは、心配しながら1日の大半を過ごしている」(Allchin氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する