オーバーチュアの新しい広告配信システム「新スポンサードサーチ(開発コード:Panama)」が、ついに日本でもスタートした。より使いやすい管理画面と、より高い広告効果をもたらすといううたい文句で登場する新スポンサードサーチでは、一体何が変わるのだろうか。12月より日本に先行して導入されている米国の状況をもとに、その姿を探る。
新スポンサードサーチについてオーバーチュアでは以下の7点を違いとして挙げている。
なかでも注目されているのが、広告の表示順位を決定する方式が変わることだ。これまでオーバーチュアのキーワード広告は、入札価格が高いほど上位になるというシンプルなモデルだった。新スポンサードサーチでは、クリック率を核としたいくつかの指標によって広告に「品質インデックス」というの質のランクを付け、入札価格と品質インデックスの高さで掲載順位が決まるようになる。品質インデックスは広告の品を相対的評価で5段階に分類するもので、一般には公開されず、広告主にのみ表示される。
ライバルのグーグルは、キーワードのクリック率や、キーワードと広告テキスト、リンク先ページの関連性を元に「品質スコア」というランクを設定し、入札価格と品質スコアによって掲載順位を決定している。今回のオーバーチュアの取り組みは、グーグルと同様の仕組みを取り入れたと言っていい。
なぜ、オーバーチュアは掲載順位の決定方式を変えたのか。それは、いくら入札価格が高くてもユーザーが興味を持たない広告はクリックされないからだ。そして、オーバーチュアの広告はクリックされるごとに課金されるクリック型。つまり、クリックされない広告ばかりが上位に表示されても、オーバーチュアやパートナーサイトの収益につながらないのだ。
「ユーザーから見ても、自分の興味関心と関連性が低いものが上位にあっても意味がない。また、クリックされなければパートナーの検索ポータルの収益にもならず、広告主の利益にもならない。このような状態は誰にとっても良くない」(オーバーチュア マーケティングマネージャー マーケティングの河田顕治氏)
米BusinessWeek誌は、米国のリサーチ会社comScore Networksのアナリストによる分析として、1クリックあたりの売上が2006年は米Yahoo!が10〜11セントであったのに対し、ライバルのGoogleが19〜21セントであったと紹介し、この差を埋めるための取り組みが、新しい順位決定方式の導入だと指摘している。
もっとも、日本ではオーバーチュアのパートナーサイトであるYahoo! JAPANが圧倒的な存在であり、日本の検索連動型広告市場ではオーバーチュアがグーグルを圧倒的に上回っている。今回の新スポンサードサーチの導入で、「グーグルをより突き放せるのではないか」とアイレップサーチエンジンマーケティング総合研究所所長の渡辺隆広氏は指摘する。
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