ただし、この新しい順位決定方式がスポンサードサーチで導入されるのは、8月ごろになるとみられる。これは、すべての広告主が新プラットフォームに移行する必要があるためだ。「すべての広告主の条件がそろった状態で始めないとフェアではない。ただ、広告主が一気に移行するとシステムへの負荷が大きいため、2〜3カ月かけて順次移行してもらう」(河田氏)
オーバーチュアではスポンサードサーチに先行する形で、コンテンツの内容に合った広告を表示する「コンテンツマッチ」において、4月4日からこの新しい順位決定方式を導入している。
では、新しい順位決定方式になると、どのような効果が生まれるのだろうか。先行導入した米国では、すでにその効果が数値で表れている。
米国で新しい順位決定方式を導入したのは2月5日のこと。米国のリサーチ会社であるcomScore Networksの調査によれば、新しい順位決定方式導入後、クリック率が5〜9%上昇したという。また、全クリック数のうち、広告がクリックされた割合は0.5〜1ポイント伸びたとのことだ。
また、米国のインタラクティブマーケティング会社Avenue A/Razorfishの調査では、広告表示回数が5%、クリック率が10%伸び、クリック単価は6%下がったとのことだ。
オーバーチュアでは日系の自動車メーカーの事例として、クリック数が19%、クリック率が17%伸びた例があると紹介している。この企業は広告のクリック単価を26%下げることに成功したという。
ただし広告主にとっては、単純に高い価格で入札すれば上位に広告が表示されるわけではなくなる。このため、「効果の測定方法を考え直し、費用対効果をきちんと測る必要がある」と渡辺氏は指摘する。
新スポンサードサーチでは、キーワードの広告効果を図る指標も変わる。例えばユーザーが「パソコン」と検索した後に、「15インチ」というキーワードで再検索し、商品を購入したとする。これまでは「15インチ」というキーワードが購買行動につながったとみなされていたが、新スポンサードサーチでは「パソコン」というキーワードも購買行動に貢献したとみなされる。
オーバーチュアでは管理画面をグラフを多用したデザインに変え、Ajaxを活用して画面のリロードを待たずにさまざまな指標が見られるようにした。これにより、使い勝手を良くし、広告主が広告効果を分析しやすいようにしている。
順位決定方式の変更が注目される新スポンサードサーチだが、それ以外にもさまざまな変更がある。まず新しい機能として追加されるのが、地域ターゲティング機能だ。広告に合った地域を絞り込んで配信できる機能で、例えば北海道の人にだけお店の広告を見せる、といったことが可能になる。この機能を売りに、地方の中小企業などの広告主を開拓する考えだ。
また、複数の広告文の効果を比較して、より効果の高い広告文を出せるようにする広告テストの機能も追加された。効果の高い広告文を自動的に多く露出するような機能も盛り込まれている。
キーワードの管理方法も変更される。これまではキーワードと広告文が1対1のセットになっていたが、新スポンサードサーチでは1つのキーワードに複数の広告文をローテーションで表示したり、逆に複数のキーワードに同じ広告文を掲載したりすることが可能となる。
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