企業にとって大事な点は2つ。まず目標を定めることです。Dellはあくまでもコンピューターを売るという目的がありました。コムキャストは顧客のカスタマーサポート関連の問題を解決するという目的がありました。どうしてTwitterを利用したいのか、その目的を明らかにしなければなりません。
次に対話です。Twitterで「CNET Japan」と検索してみましょう。すると、CNET Japanというキーワードを含んだつぶやきが一覧で表示されます。実はここに私があらかじめ書いておいたコメントもあります。Twitterでは自分の話をするだけではいけません。あくまでも双方向で相手の言っていることを聞くのも重要です。
Twitterを使って、「我々は素晴らしい会社です」「素晴らしい商品を提供しています」といくら言ったところで、たぶん誰も聞いてくれません。そういうアプローチでは駄目なのです。
たとえば街に出て、「私は素晴らしい人間だから注目してよ」と叫ぶのと同じです。もしかしたら今回の日本の選挙でもきっとそういうことがあったのではないでしょうか。
CNET JapanなどのメディアがTwitterを運用するにあたっては、記事を書くほどの情報量はないけれど、読者に知らせるべきちょっとしたアップデートがある時に利用するのがいいでしょう。
たとえばレッドソックスの試合前にThe Boston Globe紙の記者が、「その日の先発するピッチャーはいまこんな成績ですよ」という情報を出せば、読者はきっと読んでくれるでしょう。
情報更新の頻度は1週間に1回程度では効果がないと思います。注目を引きつけるためには密にコミュニケーションを取り続けることが大事でしょう。
本当そうでしょうか。コンテンツを作っている人々はまだまだ限定的ですが、実際にそのコンテンツを利用している人は多いはずです。
これは日本に関するデータですが、インターネットユーザーの69%が「観客」としてソーシャルメディアに参加しています。コンテンツを生み出している人は34%ですが、この数字はアメリカ人よりも高い数字です。
テレビ広告を使っている企業はソーシャルメディアも使っています。たとえば、あるチョコレートの会社はテレビの広告を出稿しながら、ウェブサイト経由でパーティに人々を呼んで、新商品を試してもらっています。
認知度をあげることも重要ですが、限られた人たちの間でファンを作ることも重要です。
これは非常に重要なポイントだと思います。ソーシャルメディアの評価指標については論文「 Metrics For Social Application In A Downturn」を書いてますので、別途参考にしてください。
さて、たしかにFacebookのフレンドがどれだけ増えたかとか、Twitterのフォロワーが何人になったかということでは、企業の経営者を納得させることはできないでしょう。
企業は自ら調査を実施し、ソーシャルメディアを利用したことによって人々の態度がどう変わったのか、実際に自分たちのサイトを何回訪れてもらったのか、クチコミの中にどんなポジティブな情報が含まれていたのか、こういった点をきちんと調べることが、説得力のあるコミュニケーションをする上で必要になってくるでしょう。
グランズウェルをもっともパワフルに利用した例はオバマ大統領の選挙ですが、ほかにも多くの企業が利用しています。
カナダの小さな銀行、コモンウェルズクレジットユニオンは若い人たちの口座数を増やすためにオンラインでキャンペーンを展開しました。FacebookやYouTube、ブログを使って、カナダの若い人たちとリンクしようと試み、200ほどの新規口座と400万ドルの新規残高を得ることに成功しました。
もっと大きな企業では、スターバックスもグランズウェルを活用しています。同社のウェブサイトには、ユーザーから商品の改善案を募るコーナーがあります。投票で最も人気のあったコメントをベースに新しい商品、新しいビジネスを始めています。
実は私自身、不況とソーシャルメディアの関係については調査しているところです。従来の広告手法というのは、ある製品が存在していますよと認知を広げる際には非常に効果がありました。
ただ、それはあくまでも認知であって、景気が後退中であれば、認知されても買うことができないかもしれません。また景気の状況が悪ければ悪いほど人々は友人の意見に耳を傾ける傾向にあり、いわゆるクチコミの力が大きくなります。
そしてソーシャルメディアというのはまさしくクチコミにもっとも効果があると考えられます。実際に企業の広告担当者に、今後ソーシャルメディアの予算を減らしますか、維持しますか、増やしますかと質問してみたところ、95%が維持、または増やすと回答しました。これは今後ますます大きなうねりになっていくでしょう。
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