お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

東南アジアのIT新鋭企業

楽天も撤退表明--タイの「物流マネジメント」の課題とは

2016/03/24 08:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ASEANのEコマース市場は伸び盛りだ。以前、この連載でも紹介した「 Wearyouwant」などは、スタートトゥデイら日本勢からの出資を受けて、引き続き成長を見せている。

 その一方で、楽天は2月にASEAN地域からの事業撤退を表明した。タイでは買収して運営していた事業会社の売却交渉を始めているという。その大きな要因は、クレジットカードの普及とそれに伴う金融業の育成における苦戦だと言われている。

 ただ、タイで楽天をウォッチしてきた筆者としては、日本とはインフラ面や文化的背景の違いから生まれる独特の「物流マネジメント」にも課題があったのではと見ている。今回は、バンコクのみならずタイ国内で宅配サービス事業を展開する「CJ Korea Express (Thailand)」に、タイにおけるEコマースの物流事情と、その課題について聞いた。

CJ Korea Express (Thailand)の営業マネジャー Panjagorn Gittipongsiri氏
CJ Korea Express (Thailand)の営業マネジャー Panjagorn Gittipongsiri氏

--CJ Korea Expressの事業内容と、タイの物流事情を教えてください。

 弊社は創業85年で輸送業と倉庫業を中心に、タイ全土およびクロスボーダーサービスを展開しています。国内には24カ所の拠点があり、各地でスムーズな物流を実現しています。タイではEコマース利用が急増しており、弊社の業績も伸張しています。Eコマースで主に運ぶ商品は、アパレル商品、アクセサリー、化粧品などです。

 物流方法は大きく2種類。1つは、Eコマースサイト事業者の倉庫へ行き、商品を一括してピックアップ。そして自社倉庫で分類して、それぞれの地方に発送するもの。もう1つは、販売主のところへ取りに行き、そのまま購入者へ納品するものです。

--楽天撤退の要因が物流マネジメントにあるとは考えられないでしょうか。

 タイは昔から、さまざまな国とのあらゆるものの交易の場であった歴史があります。それは現在の庶民生活においても、市場で店を出し、物を売買している姿として残っています。

 しかし、タイにおいては物流にさまざまな課題があります。楽天がタイで買収し、運営した企業は元々CtoC(消費者間)マーケットプレイスを展開していました。その物流は、物流会社ではなく郵便などその他の手段が主に担っており、さまざまな課題となっていたと推測されます。

--タイのEコマース物流における課題とはどのようなものでしょう。

 タイでは、昔から送る側の詐欺も、受け取る側の詐欺も多かったです。送る側の詐欺としては、入金されても納品しない、注文と違う商品を送る、返品要請に応じないなど。一方、受け取る側の詐欺は、納品先で発注者は不在にしており第三者が物を受け取った後入金しない、問題のない商品にクレームをつけて返金を受けた後返品しないなどです。

 また、タイではEコマースの決済手段のうち、60〜70%が今でも代引き(キャッシュオンデリバリー)となっています。これも物流における課題の要因となっています。

 商品の送り先は登録住所のみで転送や変更はできません。納品時間は電話で事前に注文主と約束し、その時間に行くことで現金の受け取りミスや納品ミスによる再送の手間を回避しようとしていますが、それでも非効率は免れません。万が一現金を紛失するなどミスが起こった場合のための、現金紛失保険なども物流会社は用意しています。

--物流をより効率化するために物流会社として考えられる手立ては。

 まず、売主のところへ商品を受け取りに行く場面についてです。これまではトラックを使って売主の倉庫へトン単位で荷受けをしていましたが、最近はバイクなどより小型の移動手段で1つ、2つ受け取り配達をすることが増えています。これにより、売主の倉庫の縮小化と経費削減に役立っています。ただし、物流会社としては手間がかかりバイクの台数を増やす必要があります。

 続いて、商品を最終的に購入者へ届ける場面では、限られた機材や人材をより効率的に配置するためのノウハウと経験を積み上げていくことが重要です。商品の到着までにかかる時間の短縮に対する要求がますますシビアになってきているためです。

--CJ Korea Expressの今後の展望は。

 タイを中心として、インドシナ半島における物流ネットワークを広げ、販売者と購入者双方に貢献していきたいです。ベトナムとミャンマーでは物流会社を買収済みで、ラオスには駐在員事務所があります。今後も拠点を増やすとともに、フライトフォワーダー業務(不特定多数の荷主から集めた貨物を集約し、同一空港宛の貨物をまとめて航空会社と輸送契約を結ぶ業務のこと)、倉庫業務などを伸ばしていきたいと考えています。

(編集協力:岡徳之)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社