Ojesyは、主にムスリム女性をターゲットとするサービスだ。ドライバーもムスリム女性で、ムスリム女性が纏うスカーフ(ヒジャブ)とゆったりとしたブルーの制服がトレードマーク。Android版アプリのほか、電話や「WhatsApp」などのメッセージアプリで予約を受け付けている。料金は初乗り運賃が5000ルピア(約45円)、1kmごとに3000ルピア(約27円)が加算される。
人口の88%がイスラム教徒であるインドネシア(外務省ウェブサイトより)。イスラム教では女性が親族以外の男性に触れることはタブーとされている。そんな中でムスリム女性にとってはドライバーが自分と同じムスリム女性だと一般的なシェアサービスよりも安心して使えるようだ。また、子どもの学校への送迎にも安心だという。
Ojesyは、2015年3月にインドネシアのベテラン大学の学生 Evila Adrianiさん(当時19歳)がスラバヤでスタートさせた。ムスリム女性が男性ドライバーのバイクタクシーを利用しづらいことや、公共交通機関での性被害が相次ぐことを懸念したEvilaさんが自らドライバーとなって開始したという。現在では350人のドライバーを雇用し、国内11の都市に展開する。
LadyJekやOjesyの他にも「Sister Ojek」などの類似サービスが登場。女性専用バイクタクシー市場は短期間で大きな広がりを見せている。先述のように、「女性客が安心して利用できる」ことが最大の要因に挙げられるが、実はもう1つある。それは、バイクタクシードライバーとして働きたい女性が多く存在することだ。
インドネシアでは、モーターバイクを交通手段として所有・使用する女性が多く存在するが、バイクタクシーのドライバーは男性の職業という固定概念が根強く残っており、女性はドライバーとして働くことに戸惑いを感じていた。空き時間などに働きたくても働きづらいという状況があったという。しかし、女性専用バイクタクシーサービスの登場がそうした状況を解消し、現在は多くの主婦や女子学生などがパートタイムのドライバーとして活躍している。
いま市場は活況を迎えている。今後は都市部だけではなく地方へのサービス拡大も見込まれるだろう。
(編集協力:岡徳之)
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