いまやFacebookページのファン数が80万人を超え、Twitterのフォロワー数が18万人以上というソーシャルメディア上でも絶大な支持を得る無印良品。斬新な企画や話題性のある商品を常に消費者に提供し続けるブランドが挑むSNSへの取り組みと戦略を、良品計画WEB事業部長の奥谷孝司氏に伺った。
Twitterは2009年から、Facebookは2010年から導入しています。私が商品開発から現在のWEB事業部に異動したのは2010年2月ですが、当時はTwitterやFacebookがどういうものであるかはあまり知りませんでした。
弊社がSNSを導入したきっかけは、お客様の時間を把握するためです。お客様がソーシャルメディアの中で過ごす時間は、基本的に「個」の時間ですよね。そこで私たちはお客様の同意を得てプロモーションをさせていただいています。
ソーシャルメディアは、個の情報が詰まっているので、趣味嗜好やブランドの好き嫌いがわかるツールでもあります。商品数を増やして顧客の幅を広げる旧来の小売業のビジネスが終わった今の時代、お客様との次の関わり方や満足度を上げる方法を考えていたとき、ちょうど台頭してきたのがソーシャルメディアだったんです。無料で利用できて、お客様と直接つながれるのも魅力でした。
短期的に効果を上げるには、マス広告が効果的ですが、ソーシャルメディアは、売上に直結はしないけれどお客様とゆるい関係を築くことができる。弊社は旧来の自社ウェブサイトでもお客様の声を聞くことに取り組んできましたので、ソーシャルメディアでこれを顕在化させていこうと考えたんです。当初はそういった目的でソーシャルメディアを開始しました。
ネットストアの売上は、2011年度で約96億円。東京・有楽町にあるフラッグシップストア「無印良品有楽町」店の売上を2006年の時点で抜いています。ただ2010年度は前年比4%増と売上の伸びが鈍化している状態でした。それがFacebook導入後の2011年度には13%増と二桁成長をとげています。
我々が考えるソーシャルメディアの役割は、お客様の購買の前後を見ることです。流入経路などを見るとFacebookやTwitterからネットストアに来るお客様が増えているのは確かですが、ソーシャルメディアを取り入れたから売上が上がるかというとそれほどでもない。
むしろソーシャルメディアは、ブランドへの理解を深めていただくための、重要なコミュニケーションツールだと思っています。そのためにはゲームなど、お客様が楽しめるコンテンツを用意しています。
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