マイクロソフトのXbox 360が2005年末に発売され、2006年5月に開かれたElectronic Entertainment Expo(E3)でソニー・コンピュータエンタテインメント、任天堂の次世代機の情報も出揃った。これら次世代家庭用ゲーム機に共通しているのは「ネットワーク対応」だ。
家庭用ゲーム機において、アナログモデムを標準装備したドリームキャストや、イーサネットを標準装備するようになったPlayStation 2やXboxなどがあったが、ネットワーク対応はまだまだ普及しているとは言いがたい状況であった。しかし、常時接続の普及により、家庭用ゲーム機もネットワーク対応は標準となってきたのである。
こうした次世代ゲーム機のネット対応や、オンラインゲームの盛り上がりから、ビジネスとして、オンラインゲーム市場に熱い視線が注がれるようになってきた。ただし、オンラインゲームは、従来のパッケージ販売を主体としたゲームビジネスとは、ビジネスモデルがまったくといっていいほど異なっている。オンラインゲームビジネスは、マクロな視点で見れば、コミュニティを形成するウェブベースのサービスの一種ともいえ、インターネットビジネスと親和性が非常に高い業種なのだ。
実際、オンラインゲーム市場では、既存のゲームメーカーだけではなく、ネット企業、特に韓国系企業の活躍が目覚ましい。また、必要な人材も従来のゲーム制作と異なり、コミュニティを運営するためのディレクターや、サーバ管理やデータベースを扱う技術者など、インターネットサービス業で必要な職種と重なっている部分も多い。
今回の特集では、オンラインゲームをインターネットビジネスの新市場ととらえ、各企業の戦略やビジネスモデル、課題について取り上げていく。
これまでオンラインゲーム市場は具体的な統計データが少なかったのだが、経済産業省が主催する首都圏情報ベンチャーフォーラム内のオンラインゲームフォーラムでは、2005年から大規模な調査を始めている。先日発表された2005年のデータから、この市場を見てみよう。
オンラインゲームの登録会員数は、2004年は1942万人だったが、2005年は2807万人と約1.4倍の伸びとなっている。この会員数は各ゲーム会社(パブリッシャー)の登録会員数の累計であり、重複も多いと予測されるため、正確な数字とはいえないが、大きな会員数を抱えるタイトルが増えてきたのは確実だ。
市場規模でみると、2004年度は578億円だったが、2005年度は820億円とこちらも約1.4倍の伸びを示している。しかも内訳を見ると、約70%にあたる570億円がPC対応ゲームとなっている。日本のゲーム市場全体からみれば家庭用ゲーム機が主体なのだが、オンラインゲームに関しては家庭用ゲーム機よりもPCが主役といえる。
注目は、パッケージ販売とサービス料の比率だ。家庭用ゲーム機はパッケージ販売の売り上げがメイン、PCは逆にサービス料がメインとなっているのがわかり、明確にビジネスモデルが違うことがうかがえる(グラフ1)。
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