米国では、議員やインターネット企業の幹部が、拡大する子供たちのネットいじめに関心を寄せ始めている。
米議会では最近、インターネット、テキストメッセージなどの電子機器による繰り返しの嫌がらせから子供たちを守る法律を制定する動きが進んでいる。数週間前、Linda Sanchez下院議員(カリフォルニア州、民主党)とKenny Hulshof下院議員(モンタナ州、共和党)が、いわゆるネットいじめ行為を犯罪とみなす連邦法案(PDFファイル)を提出した。また、Matt Bluntミズーリ州知事は、米国時間6月6日、同様の法案に署名して、州法として成立させる予定だったが、セントルイスの悪天候のため延期された。
これら州法、連邦法のきっかけとなったのは、MySpace.comで繰り返し嫌がらせを受けていた、ミズーリ州の13歳の少女Megan Meierさんの自殺であった。5月、近所に住む大人がロサンゼルスの大陪審により起訴されたが、罪状はネットいじめではなく、他人を傷つける目的でのコンピュータシステムへの不正アクセスであった(ミズーリ州の検事は、当時、ミズーリ州にはこの件を起訴するための法律がなかったと述べている)
この事件によって、ネットいじめ問題に対する認識が米国全体で高まった。
弁護士で、非営利の権利擁護団体であるWired Safetyの創設者でもあるParry Aftab氏は、「大人が子供をいじめているのを見れば、危険性がいかに大きいかがわかる」と述べている。
また、6月2日、3日の2日間、ニューヨーク州ホワイトプレーンズおよびニューヨーク市で開催された、Wired SafetyのInternational Stop Cyberbullying Conferenceでは、親、子供、教師、インターネット企業の幹部がネットでのけんかの問題について徹底的に議論した。Facebook、Verizon、MySpace、Microsoftを始めとする企業の多くの幹部が、ネットいじめから子供を守る方法について、数百人の子供や親と話し合った。
概して、これまでの議論は性犯罪者だけに焦点を当てたものだったが、焦点は子供たちがチャットルーム、ソーシャルネットワーク、仮想世界、テキストメッセージで互いに傷つけあう可能性があるという、日常的に起こり得る被害へと移ってきている。研究者によれば、子供の40〜85%が、パスワードを盗まれたり、インスタントメッセージで「デブ」と呼ばれたりするなど、何らかのネットいじめを受けた経験がある。
たとえ大人が監視する子供のための仮想世界であっても、子供たちは、「メアリーはデブ」のように、からかいたいクラスメートにちなんだ名前をバーチャルルームにつけることで、禁止語による管理を回避してしまう。誰かを「デブ」と呼ぶのは犯罪ではないが、親や議員は、Meganさんのような悲劇につながる前に、こうした言動を防ごうとしている。
Sanchez下院議員はインタビューで、「大人もかつて誰かをからかっていじめていたものだが、事態は言葉によるいじめから暴力へと発展している」と述べている。
「ネットいじめの問題は、コンピュータや携帯電話で四六時中嫌がらせを受ける可能性があり、自宅ですら安全ではないということだ」(Sanchez下院議員)
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