ワシントン発--ある犯罪防止団体が米国時間8月17日、「ネットいじめ」の対策となる新しい法律を2006年内に成立させるよう議会に求める呼びかけを発表した。ネットいじめの問題は深刻さを増しており、米国で新学年が始まる9月以降の1年間に、少なくとも1300万人の子どもたちがその被害に遭うことになるだろうと、この団体では訴えている。
この問題を提起したFight Crime: Invest in Kidsが主催し、当地で開かれた記者会見の席上で、ユタ州のMark Shurtleff司法長官は、卑劣なもの、脅迫まがいのもの、恥をかかせるものなど、さまざまなメッセージがインターネットおよび携帯電話などのポータブル機器経由で送りつけられ、「新学期に学校に戻る子どもたちを待ち受ける悪質な脅威となっている」と語った。Fight Crimeは、警察署長、検事、捜査当局のトップ、犯罪被害者など3000人が加入する非営利の人権擁護団体だ。
同団体の依頼を受け、1000人の若者を対象に行われた最近の調査によると、年長グループ(12歳から17歳)の3人に1人、年少グループ(6歳から11歳)の6人に1人がネットいじめの被害に遭ったことがあるという--この割合を米国全体に換算すると、被害者はおよそ1300万人になる。また、年長グループの10%、年少グループの4%は、身体的危害を加えるとの脅迫をオンラインで受けたことがあると告白している。しかし、年少グループの約半分、さらに年長グループの70%は、いじめを受けたことを保護者にまったく話さなかったという。
「ネットいじめの被害は拡大しており、被害を受けた子どもたちとその家族にとっては深刻な問題になることもある」と、およそ10年前にFight Crimeの設立にもかかわったノースカロライナ州シャーロットの警察署長、Darrel Stephens氏は指摘した。
Fight Crimeでは、子どもたちを守る第一線に立つのは親の役目だとして、保護者向けに10項目のアドバイス(PDFファイル)を公開している。ここには、匿名で行われることが多く、エスカレートしがちなオンラインでのいじめから自分の子どもを守るのに役立つヒントが挙げられている。しかし、Fight Crimeでは、さらに議会からの支援も必要だとして、2005年2月にJohn Shimkus下院議員(イリノイ州選出、共和党)が提出した法案を成立させるよう求めた。この法案は、学校でのいじめといやがらせを防止するプログラムに資金を提供するというものだ。
議会の側も、オンラインにおける子どもたちの安全を守る取り組みを数カ月前から最優先事項の1つに据えている。ただし従来、こうした取り組みは子どもを狙う成人犯罪者からの脅威に重点を置いたものだった。実際、図書館員や市民的自由の擁護派からの反対にもかかわらず、米国政府より一定の補助金を受けている学校や図書館のコンピュータから、未成年者が「チャットルーム」および「ソーシャルネットワーキングサイト」にアクセスできないようにすることを事実上義務づける法案が、下院で圧倒的多数により可決されている。
Fight Crimeのエグゼクティブディレクター、David Kasss氏は、CNET News.comからの質問に答え、「Deleting Online Predators Act」と呼ばれるこの法案のことはよく知らないため、この法律がネットいじめ対策にも有効かどうか、その見通しについてはコメントできないと発言した。
17日の記者会見では、もうすぐ高校2年生になるバーモント州の学生、Kylie Kenneyさんが注目を集めた。彼女は、オンラインでいやがらせを受けた2つの体験を赤裸々に語った。このいやがらせによって、学生生活のうち2年間がめちゃくちゃになり、友人関係は壊れてしまったという。
話によると、まず2人のクラスメートが「Kill Kylie Incorporated」(Kylie抹殺会社)という名のウェブサイトを立ち上げ、当時8年生(日本の中学2年生)だった彼女を脅したり、同性愛者だと中傷したりした。それから間もなく、別のクラスメートがKennyさんのハンドル名に似た名前でインスタントメッセージに入り、彼女が所属する陸上ホッケーのチームメートに対し、デートなどに誘うメッセージを立て続けに送りつけた。最終的には警察がこの事件を調査し、いやがらせをした疑いでクラスメートたちは少年審判を受けた。
「わたしには逃げ場がなかった」と15歳のKylieさんは語った。彼女は結局、新しい高校に編入するまで自宅学習することになったが、そのころのことを「あらゆるものが学校までわたしを追いかけてきた」と振り返った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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