MySpaceなどのソーシャルネットワーキングサイト(SNS)に掲載される広告の量は、今後数年で急増すると予想される。だが、そうした広告の大部分は、SNSとエンタテインメント、マーケティングとの境界をあいまいにしかねない。
特に子供たちが危険にさらされるとの批判の声も挙がっている。十代前半のSNSユーザーの数が増加するなか、この世代は十分に社会を知らないため、こうした誘惑的な新形態の広告に疑いの目を向けないからだという。たとえば、「スーパーマン」のような映画の登場人物やWendy'sのハンバーガーなどの商品を売り込むマーケティング業者は、MySpace上で「お友達」になるふりをして、子供たちに接近する。
消費者団体の中には、こうした状況に子供たちはどのように適応し、対処するのだろうかと、疑問をかき立てられているところもある。数年前に検索エンジンはスポンサー付きのリンクを区別するよう義務付けられたが、SNSも同様に商業広告と会員の書き込みを明確に区別する必要があるのだろうか?
消費者団体Commercial AlertのエグゼクティブディレクターGary Ruskin氏は、「SNSの広告に関しては特有の問題がある。実際には相手が『サクラ』でも、子供は普通の人とやりとりしていると思うので、詐欺まがいの行為が起こりやすいのだ」と語る。Commercial Alertは2002年に、検索結果に含まれる広告を明確に区別させるよう、米連邦取引委員会(FTC)に働きかけた団体だ。
調査会社のeMarketerが米国時間7月25日に発表した報告によると、マーケティング業者が米国内でMySpaceのようなSNSに広告を出す費用の推定額は、2006年の2億8000万ドルから、4年後の2010年には500%以上増加して18億ドルに達するという。この報告では、SNSの中でも特に利用者が多く、会員数が1億人に達する勢いのMySpaceは、今年の広告売り上げが1億8000万ドルに達し、トップシェアを占める見込みだとしている。
eMarketerによると、MySpaceの売り上げの大部分は、マーケティング業者のためのプロフィール作成とスポンサー付きページによるものだという。MySpaceはまた、バナー広告やYahooのスポンサー付き検索結果も販売している。
さらに、従来のウェブサイトの多くでは、広告は通常、記事とは切り離されており、広告であることが明記されている。しかしSNSでは、広告や宣伝文句をそれと明記せずにあらゆる形で潜り込ませることができる。MySpaceでは特に厄介なのだが、普通の会員とマーケティング業者かを判断するのが難しくなりがちだ。
「SNSの世界では、何の間にも境界線というものがほとんどなく、その結果、広告主がメッセージを混在させて混同させる余地ができてしまう」と、安全なブログやSNSを論ずるサイト、Blogsafety.comを運営するLarry Magid氏は語った。
MySpaceのプロフィールページには企業の口コミ型マーケティングキャンペーンが満載だ。eMarketerによると、MySpaceがパートナー企業のために設けているプロフィールページはすでに数百におよぶという。
たとえば、ハンバーガーショップのWendy'sは「Smart」という名称でキャラクターのプロフィールページを開設している。ニューヨーク出身の28歳の男性、会ってみたいのは女優Angelina Jolie、好きな音楽はヒップホップ、趣味は映画、それにWendy'sの「ベーコン・マッシュルーム・メルト」が好きだ。「わたしについて(about me)」の欄には「四角くなるには素質が必要だ。Wendy'sで四角いパテのハンバーガーを食べて本物を味わおう!」と書かれていて、8万人以上の友人が登録されている。
Burger Kingによる MySpaceのページではKingと呼ばれるコマーシャルキャラクターが登場し、その下には「Kingからの贈り物」と称してFoxテレビの人気番組「24」や「American Dad」などの無料ダウンロードを提供している。
2006年夏に米国で公開になった映画「John Tucker Must Die」は何人ものガールフレンドと付き合う男子高校生が彼女たちから仕返しされてトラブルに巻き込まれるストーリーだが、MySpaceでは主人公の他、何人かの主な登場人物のプロフィールが公開されている。映画の主人公であるJohn TuckerにはMySpaceで10万人以上の「友人」が登録されており、なかには14歳の女の子たちへのリンクも数多く含まれている。彼女たちは主人公を「セクシー」だと言い、映画を見に行くと約束している。
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