ロシアのアンチウイルスベンダー、Kaspersky Labが12月4日にモスクワで「New Horizon」と題したプレス向けイベントを開催した。同社の経営陣が登壇し、世界のITセキュリティ動向、Kasperskyの経営状況などについて講演した。
Kasperskyコーポレートビジネス担当バイスプレジデントのKeith Maskell氏は、「On the Horizon」という講演タイトルで同社の企業向けビジネスの方向性について語った。
Maskell氏によれば、企業向けエンドポイントセキュリティにおける2008年のKasperskyの位置は市場シェア(売上)3.4%で第6位。売上高は2007年の7740万ドルから2008年は9730万ドルに上昇したという。
企業向けアンチマルウェアおよびエンドポイントスイート市場のシェア(売上比)はそれぞれ5位だ。アンチマルウェアにはアンチウイルスとアンチスパイウェアで構成されている。エンドポイントスイートにはアンチウイルス、アンチスパイウェア、デスクトップファイアウォール、不正侵入対策が含まれる。
IDCの調査によれば、エンドポイント分野のうち、アンチマルウェアは2013年までに大きく落ち込むが、セキュリティスイートは2013年までに6倍、その他のエンドポイントセキュリティ(暗号化、デバイスコントロール、情報漏えい対策、ネットワークアクセスコントロール)も2013年までに3倍強に成長するという。
「我々はこれらの分野で、2012年から2014年までにマーケットシェア1位を取るために準備をしている」(Maskell氏)
さらにKasperskyはオープンシステムプラットフォームが次のチャンスになると見ている。「オープンシステムプラットフォームのプロバイダは売上拡大をまず第一に目指すため、セキュリティは後手にまわりがちだ。これらのプロバイダとITセキュリティ業界は良い共存相手になるだろう」とMaskell氏は述べる。
またカスペルスキーの顧客の多くがWindowsをはじめとした複数のプラットフォームを利用している。「Microsoftのようなプラットフォームプロバイダがセキュリティソリューションを提供したとしても、すべてのプラットフォームをカバーできるわけではない。プラットフォームプロバイダよりも、セキュリティ専業のベンダーがソリューションを提供すべきだ」(Maskell氏)
Maskell氏はグローバルでのビジネス推進も担当している。同氏に今後特に強化していきたい地域を聞くと、即座に「日本」と答えが返ってきた。
「もちろん日本しかない。もっとも重要な市場の1つだと思っているし、まだまだ市場開拓は始まったばかりだ。日本には非常に興味を持っている」(Maskell氏)
「いまのところロシア国内での展開はパーフェクト」と評価する一方で、日本の特徴的な市場を研究し、シェア獲得を狙っている。「日本はとても洗練されていて、かつ保守的、そしてハイクオリティ志向の国だ。企業向け製品は非常に厳密なテストを求められる」と分析する。
「我々が日本企業向けにリリースするソフトウェアは自信を持って『ハイクオリティ』と言い切れるものになるはずだ。そして日本のパートナーと信頼関係を築き、本格的に行動を開始し、そして成長し始めるだろう」(Maskell氏)
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