第4章より続く。
今回は、インターネットの歴史の第5章として、「法律と秩序」「大いなる失敗」というタイトルで2つの分野を見てみよう。
インターネットの歴史には、著作権侵害、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃、さらにはウィルスの話題までもがぎっしりと詰まっている。面白い話や笑い話も多いが、残念な話もある。このセクションでは比較的新しい出来事を5項目取り上げた。
当時わずか15歳だった「マフィアボーイ」ことMike Calceは2000年、CNN、Dell、eBay、Amazon、Yahooといった巨大な11のウェブサイトにDDoS攻撃を行った。アナリストの試算によると累計の被害金額は10億ポンド近くに達したという。スクリプト好きなティーンエージャーなら、インターネットで武装さえすれば、社会に壊滅的な打撃を与えられることを示した。
われわれのお気に入りの事件として全米レコード協会(RIAA)が音楽コミュニティーの頸(けい)動脈に吸血鬼のごとく吸い付いた訴訟がある。コンピュータ嫌いの83歳のおばあちゃんGertrude Waltonさんを、インターネットで700曲を公開して共有できるようにしたことを理由に、RIAAが訴えたのだ。訴え自体は目を引く話ではないが、Waltonさんはその前年に死亡していたことが分かって話題になった。しかも娘さんの話によるとコンピュータさえ所有していなかったという。RIAAは巧妙に訴訟を取り下げた。
中国人ジャーナリスト師濤氏が犯罪に関係したことを示す個人情報をYahooが中国当局に協力し渡したことで同氏は逮捕され、国家の秘密を漏らしたとして10年の刑を言い渡された。天安門事件15周年に関連した当局の懸念事項を、海外のウェブサイトに送信したことが有罪とされた。
スウェーデン警察は2006年、数多くのBitTorrentトラッカを提供するThe Pirate Bay(BitTorrentの検索サイト)をホスティングしていた容疑で、ホスティングサービスのPRQ社を強制捜査しサーバを押収したところ、大きな抗議行動へと発展した。The Pirate Bayファイルが存在したのはわずかなサーバだけであり、サービス停止などの影響を受けた10サイトがスウェーデン政府を訴える事態に至った。オフラインを余儀なくされたサイトは100を超えた。The Pirate Bayはスウェーデンから移転したが、その3日後にバックアップからリストアをかけてオンラインに復帰している。あらゆるメディアが取り上げたために逆に多くの新ユーザーを獲得した。
人数が多く普段は忠実なdigg.comのユーザーが2007年のメーデーに集団で反乱を起こした。diggのスタッフが、全米映画協会(MPAA)の指摘に応える形で、HD DVDのコピープロテクトを破る暗号鍵に関連する投稿を削除し、合わせてユーザーにもそれを禁止して、コミュニティーが運営するニュースサイトを自分たちで管理しようとしたためだ。ユーザーは抗議として膨大なコメント投稿を行ってサイトをまひさせ、完全にサイトを制圧した結果、最終的にdiggは折れた。
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