2月に東京・青山一丁目駅そばにインキュベーションオフィス「STARTUP Base Camp」をオープンし、スタートアップ支援に加速をつけるサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)。同社は2006年の設立以降、日本にとどまらず、広くアジア圏にネットワークを構築し、投資を行っていた。
そんな同社はこれからどのようなスタンスでスタートアップと付き合っていくのか。代表取締役社長CEOの田島聡一氏、インベストメント・マネージャーの佐藤真希子氏、ヴァイス・プレジデントの海老原秀幸氏の3人に聞いた。
海老原:前身となるイベントは2009年にスタートしました。以降、2010年に1回、2011年に2回開催しています。初回のイベントでは投資に至ったものは無かったのですが、2010年の回をきっかけにマインドパレット、トライデン、フードフォトの3社に投資し、2011年の2回では、投資もしくは投資検討に入ったものが10数社という結果でした。
海老原:印象的なのはマインドパレット。ユーザーの伸びが特徴的でした。当時、グルーポン系ビジネスを模索していたマインドパレットのメンバーにTwitterで声をかけたのがきっかけです。丁度起業準備中だった小林さん(マインドパレット代表取締役社長の小林佑次氏)と何度かミーティングを持った後にSTARTUPSに応募してもらった例ですね。結果、彼らと共同創業しました。
佐藤:20代から30代前半のシリアルアントレプレナー系が多いですね。その中で生き残るのはやはり経験のある人やインターネットに慣れ親しんだ人達。たとえばmy365のメンバーはものすごい数(のサービス)を作って勝負してきたし、もっちくん(Labit代表取締役の鶴田浩之氏)は13歳からサービスを作ってる。
海老原:まずエンジニアがいないチームは基本的に外していますね。
佐藤:パートナーとして一緒に成長していけるかを重視しています。いろいろな意見をかみ砕いて判断できるか、その姿勢があるかということが大切で、残念ながら経験値の低い人達はアドバイスを鵜呑みにしてしまう。必要な情報をうまく取り入れるというのは大切な資質なんです。
田島:サービスをやっている人達はどうしても運営者目線になってしまう。そこからいかにしてユーザー目線を持てるか。私たちはこのユーザー目線にかなりこだわりを持っています。たとえばアイコンのデザインやネーミング、UIやUX、どれ1つとっても細かいところで勝負ができないと勝てないですね。
海老原:5月からプログラムを新たに開始しました。入居先は無料ですが、外部の方も一定の料金(1回3000円)をお支払い頂ければ参加可能です。先輩経営者のケーススタディや、より具体的なサービス開発に関するノウハウ、財務や知財、人事組織など管理系の知識などを共有する勉強会を月に1回のペースで開催します。
また、我々の海外拠点を活用しての情報提供や、特にアジア各国に関しては事業展開の可能性についても相談できる場所にするつもりです。
佐藤:(STARTUP Base Campを指して)こういう場所なので、アドバイスが欲しければちょいちょいと人を見つけて話しかけて、というのができますよね。紹介したい人がいればすぐに繋げられるし。
田島:サイバーエージェントで共有される失敗経験やマーケティングノウハウなどは積極的にシェアしたりしてます。そういう情報や体験をもとに細かい点のアドバイスが可能になっていますね。
また、投資時のバリュエーションの評価ですが、狙っているマーケットの規模や潜在面も考慮した成長性、経営者(経営陣)など、複数の要素をみて次のファイナンスまでの期間を走りきる金額を調達可能な評価額を付けさせて頂いています。
たとえば、創業段階で普通株の20%を上限に2000万円程度の出資が1つの目安になるでしょうか。キーワードとしてはやはり世界を変える、メガベンチャーといわれるものを創造するのが狙いです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」