Web 2.0アプリケーションは、人々が従来のデスクトップアプリケーションに期待する様々な特徴を備えつつ、ますます進歩向上を続けている。
オンラインアプリケーションを支えるビジネスモデルには、まだまだ不透明感が残るものの、2007年は、テクノロジ新興企業と、確立された大手ソフトウェアベンダーの双方による、オンラインデジタルメディアやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、ソーシャルネットワーキング機能の急増で大きく前進した。
2006年はGoogleの買収に関する話題がビッグニュースとなったが、2007年はライバルのYahooが、Web 2.0企業として定評のある、Ajaxを多用したウェブメールとカレンダーアプリケーションを開発するZimbraを、約3億5000万ドルで買収した。
デスクトップソフトウェアベンダーも、特にMicrosoftとAdobe Systemsが、ソフトウェアサービスの発展に大いに貢献した。
2月には、Adobeの当時の最高経営責任者(CEO)であるBruce Chizen氏が、CNET News.comに対して、オンラインバージョンの「Photoshop」に取り組んでいると語り、ブログ界を騒がせた。
「Photoshop Express」と呼ばれる同ソフトウェアが、唯一のウェブベースのデジタル画像エディタであるというわけではない。しかし、Photoshop Expressの発表は、由緒あるデスクトップアプリケーションさえ、オンラインバージョンとして改良されるほどに、ウェブがAdobeに多大の影響を及ぼしてきたことを示すものとなった。
一方でMicrosoftは、市場で優位な「Office」デスクトップスイート向けに、ついにウェブサービスを開発する段階へと進んだ。「Office Live Workspace」と呼ばれる同サービスは、オンラインでOfficeドキュメントの共有を可能にする。
Googleは、すでに「Gmail」やそのほかのウェブアプリケーションで、膨大な数の登録ユーザーを獲得してきたが、新たにサブスクリプションベースの「Google Apps Premier Edition」サービスを立ち上げた。同サービスは、特にビジネスユーザーをターゲットにしており、Web 2.0の特徴を追加することで、よりユーザーフレンドリーなエンタープライズアプリケーションを開発する、幅広いトレンドの一翼を担っている。
Adobeも、Flashベースのオンラインオフィスアプリケーションの1つである「Buzzword」を開発した、新興企業のVirtual Ubiquityを買収して、この「ウェブオフィス」を巡る競争に参戦した。
2007年は、Web 2.0の基盤となる分野でも、よりリッチなオンラインアプリケーションを生み出すべく、開発プラットフォームの目まぐるしい向上が見られた年でもある。
Googleは、オフラインでもブラウザ上でウェブアプリケーションを動作させるプラグイン「Google Gears」を発表した。
Microsoftは、AdobeのFlashに対抗する技術として、長く発表が待ち望まれてきた「Silverlight」をリリースし、Silverlightが、異なるプラットフォーム上で、複数のプログラミング言語を用いて動作することを明らかにした。
さらに、Microsoftは、ウェブアプリケーション構築時に、開発者が多彩なホステッドサービスへとアクセス可能になる「クラウドコンピューティング」イニシアチブの詳細を明らかにし始めた。
「Adobe Integrated Runtime」(AIR)は、最も面白い開発者向け新プラットフォームの1つである。AIRによって、ウェブツールを使って従来のデスクトップアプリケーションにように動作するプログラムを開発することが可能になる。
ウェブアプリケーションと共にAPIを提供する動きがこの数年続いている一方で、ソーシャルネットワークも2007年になって大々的にこの流れに乗り始めた。
学生向けソーシャルネットワークを開拓したFacebookは5月、外部開発者がFacebook上で動作するウィジェット、つまりミニアプリケーションを開発可能にすることを発表した。LinkedInは12月に自社開発者向けプログラムをリリースした。
この流れの中で、Googleは複数のソーシャルネットワーキングサイトをつなぐAPIセットである「OpenSocial」を発表した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」