医薬品のネット販売を規制した改正薬事法の厚生労働省省令をめぐる、ケンコーコムとウェルネットの行政訴訟の第2回口頭弁論が9月1日に東京地方裁判所で開かれた。
6月1日より施行されている改正薬事法では、市販薬を副作用リスクの高い順に第1〜3類の3種に分類している。そして厚労省が定めた省令では、第1類と第2類について、「対面販売」による情報提供を前提とし、インターネットなどでの通信販売を禁じている。具体的には、一部の胃腸薬や鼻炎薬、禁煙補助剤などが第1類に、風邪薬や漢方薬、妊娠検査薬などが第2類にそれぞれ分類されており、現在インターネットでの販売が不可能になっている。同省令では、これまで同じ医薬品を継続して利用する人や離島に住む人に限定して継続販売を例外的に認めているが、これも2年間に限定した経過措置という扱いだ。
医薬品の通信販売を手掛けるケンコーコムとウェルネットはこの省令が違憲であるとして、省令の無効確認・取り消しなどを求めて国を提訴している。
7月14日の初弁論では、ケンコーコムら原告は(1)店舗等における対面販売での情報提供の状況について、厚労省が取り締まりを行う予定か(2)一部の会社が、特例販売許可を利用し医薬品の通信販売を行っている実態をどう認識しているか(3)第1類医薬品の情報をインターネットで提供し、十分であるという購入者の意思が表明されてもネット販売が禁止される理由--の3点についての求釈明書を提出している。
これに対して被告である国は8月10日に、特例販売許可を取得した会社が許可の範囲を超えて医薬品を販売する場合、都道府県の判断により行政指導や改善命令、業務停止といった対象になるという旨の回答を行った。
その後、国からも省令の正当性を主張する準備書面が、原告から「改正薬事法施行後も店頭販売では情報提供の姿勢について大きな変化が見られない一方、原告には大きな損害が出ている」「『対面販売の原則』が明確にできておらず、ほかの制度とも不均衡である」といった主張をする準備書面がそれぞれ提出された。
口頭弁論の後に行われた会見では、ケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏、有限会社ウェルネット代表取締役の尾藤昌道氏、原告代理人で弁護士の阿部泰隆氏、関葉子氏が登壇。改正薬事法施行後の薬局にて実際に商品を購入した事例を元に省令の問題を指摘した。
後藤氏によると、ケンコーコムは6月以降、毎月2500件以上の販売を断っているのだという。その額は年間売上で5億円、利益では1億円にのぼると試算している。
そんな状況の中、同社の独自調査によって省令を遵守しない販売を行っている薬局の存在することが明らかになったという。
たとえばこういったケースがある。6月以降に、使用予定者が代理人を通じて漢方薬を薬局で購入し、その後郵送で漢方薬の通信販売を行ったところ、問題なく郵送で使用者予定者本人に漢方薬が届いた--ごく普通の行為に聞こえるかも知れないが、これは省令違反に当たる。改正薬事法の省令では、省令施行後に初回購入した場合、施行前からの継続利用ではないため、郵送での販売は禁止されているのだ。
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