インターネット広告とネットメディア運営を展開するサイバーエージェントの株価が、昨年12月以降急速な上昇をみせており、市場関係者の注目を集めている。約1カ月半で15万円水準の株価が2倍以上の38万円台にまで急上昇した背景でいったいなにが起きているのか。
この株価の上昇は、サイバーエージェントが昨年12月25日に発表した11月の月次売上高の伸びが好感されているようだ。同社の11月の連結売上高は、19億600万円(前月比14%増、前年同月比75%増)で、月間売上高の過去最高記録を2カ月ぶりに更新した。画像付きメールマガジンのメールビジョンなど、自社経営するネットメディアで広告の受注が好調に推移したことが寄与している。さらに、子会社のネットプライスなどで手掛けているネット通販など、電子商取引(EC)事業が大きく伸びたことも支援材料となっている。
インターネット関連のサービスは、非常に変動が激しく業績見通しが立て難いものの、同社の場合は、インターネット広告、ウェブインテグレーション、EC事業(ネット通販、電子商取引)、キャンペーンの事務局運営代行など事業分野が多岐にわたっていることから、ほかの企業に比べて収益の安定度が高いのが大きな特徴だ。
大和総研でも昨年12月16日付のサイバーエージェントのレポートで、「黒字化定着」として、投資判断で新規に「1」(強気)の格付けを付与している。
2000年の株式公開以来、一貫して赤字計上を続けていた同社に対し、大和総研が株価の先行き見通しを「強気」と判断した背景には、ネット広告事業とインターネットメディア事業がそろって好転していることにある。なかでも特に収益性の高いインターネットメディア事業が広告代理店事業を上回りはじめたことや、子会社群が連結収益に大きく貢献してきたことにも注目している。このため、同総研では今期の2004年9月期の連結経常損益を15億4000万円の黒字(前期実績6600万円の赤字)、来期には23億5000万円の黒字になると試算している。
同社は、利益の黒字定着を背景に、2008年9月期を目標年度とした経営計画を公表している。自社運営メディアの育成でネット通販や広告枠販売を拡大させ、連結売上高は2003年9月期(162億円)の6倍に相当する1000億円を目指す。さらに、大型買収は当面手控える方針で、小規模の事業を多数立ち上げて育成することで、収益の拡大を目指す。事業内容の点では、これまでの広告代理店主体のビジネスモデルから、自主メディアの運営を主体としたビジネスモデルへの転換を進めていく。売上高の面でも2008年9月期の目標売上高のうち、純粋な広告代理業による収入は100億円程度と見込んでおり、残りの大半を自主メディアに関連した収入で賄う考えだ。
ただ、現在の株価(1月16日終値・38万円)から試算する今9月期の連結PERは、134倍とかなりの割高となっている。今後の業績推移が中期の経営計画に沿って推移すれば、株価も中長期的には上昇基調が継続することになりそうだ。しかし、目先的には株価が割高水準にあるため、かなりの幅で乱高下することも十分覚悟しておかなければならない。
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