OCN(Open Computer Network)は、NTTコミュニケーションズが運営するインターネットサービスプロバイダー。
一番の強みは、同社の子会社でもある、NTTレゾナント社が運営するgoo、ならびに株式会社ぷららネットワークスが提供するぷららとのサービス連携であろう。同社は、昨年8月にポータルサイト「goo」とインターネット接続サービス「ぷららネットワークス」を子会社化している。
OCNおよびぷららユーザーがアクセスした際に、それぞれのサービスの会員向け情報が自動的に表示されるようになっている。
今年7月には、OCNとgooがID連携を開始し、1度のログインで、gooのWebサービスの利用を可能にし、その逆もまた実現した。
OCN会員を中心としたNTT Com「マスターID」ユーザーは、「マスターID」による1度のログインで、「goo」会員向けサービスの利用が可能になります(シングルサインオン)。(中略)
また、「gooID」による「マスターID」対応サービスへのシングルサインオンも同時に実現し、NTT Comグループのコンシューマ向けWebサービスの相互利用を推進していきます。(※5)
また、ブロードバンドサービス会員数が大きく伸びたことで、OCNは順調に会員数を伸ばしている。
2006年3月末 :609万人(うちBBユーザーは488万人)
2007年6月末 :635万人(うちBBユーザーは520万人)
上記で見たように、OCNは、NTTコミュニケーションズグループのサービス連携と、ブロードバンド加入者の増加を背景に、会員数を武器に利用者の拡大を図っていく。
最後は、冒頭いささか挑発的とも取れるような広告展開を紹介した@niftyの戦略をみていこう。
富士通の連結子会社であるニフティ株式会社が運営するインターネットサービスプロバイダー。
今年9月には、今まで三種類に分かれていた会員(「@nifty会員」「@nifty ID登録ユーザー」「PLEASY(プリージー)利用者」)を「@nifty会員」へ統合し、会員基盤を強化した。
@niftyといえば、ISPの老舗になるが、アバウトミーというプロフィール作成サービスを5月にローンチしたかと思えば、ニコニコ動画のパロディとも取れるニフニフ動画を今年6月にリリースし、業界を騒然とさせた。 老舗というよりは、あたかもベンチャー企業のような大胆な取り組みから、@niftyの「本気度」が伺える。
ニフティ株式会社、和田社長は言う。
「簡単に芽が出る商売は簡単にだめになる。すぐに収益にはならないだろうから、積み上げていくべき」 「ワンクールやってみて、反省してやり直すぐらいの機会がいるだろう。サービスと収益を同時に考えていたらニフニフなんか出てくるわけなくて、人が寄れば市が立つ、という信念でやってもらうしかない」 「無名の利活用分野を有名にするには、トライアンドエラーを繰り返すスピードを早めるしかない。1年先には利活用分野が"倍"になっていればいい。売り上げでもページビューでも。使った金以外はね(笑)」(※6)
(※6)ITmedia参照
以上主要なISPポータルの戦略をみてきたが、各社、会員というリソースを最大限活用し、その中で独自性を打ち出し、他社との差別化を図っている。
このように斬新なサービスがユーザーに供給されることで、ポータルサイトという枠組みに新たな選択の幅が生まれることを期待している。
鈴木雄太(セプテーニ)
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