今回のテーマは「旅行サイトユーザーの、商品検索から予約に至るまでの購買行動把握調査」。
対象を過去1年間に行った国内旅行に限定した上で、旅行の検索から商品比較、予約に至るまでの行動を調査し、購買スタイル別に傾向を分析した。
今回の調査は6月19日〜6月21日で行い、全国の1016人の男女(20歳代19.7%、30歳代20.0%、40歳代19.9%、50歳代20.3%、60歳以上20.2%)から回答を得た。
まず、過去1年以内に1回以上国内旅行に行った経験がある旅行サイトユーザー842人を対象にした上で、旅行商品選択の判断基準を尋ね、4つのタイプに分類した。その結果、良いものを安く購入したいので、色々な商品を納得いくまで徹底比較する「こだわり徹底比較」派55.9%、旅行にはこだわりがあるので、多少値段が高くても上質なものを選びたい「こだわりリッチ」派19.8%、旅行内容にはそれほどこだわらないので、とにかく安くお得に行きたい「安さ重視」派17.7%、忙しいので、商品内容や価格よりも、必要な時にスムーズに手間なく購入できることを重視する「利便性重視」派6.5%となった。
これら4タイプのユーザー別に、過去1年間に国内旅行にかけた金額を比較したところ、以下のグラフのような結果となった。
それでは、旅行の検索や購買に至る行動については、タイプごとにどのような違いがでるのだろうか。検索行動で特徴が出たのは「こだわりリッチ」派で、情報収集に利用するサイトとして他の3タイプと比べて「総合旅行サイト」などの他に「ホテル・旅館などが直で運営しているHP」を利用する割合が10%以上高く、また旅行サイトにたどりつく方法として、「検索」だけなく「ブックマークから」利用する割合が7%程度高かった。「こだわりリッチ」派は商品購入チャネルにも特徴があり、「インターネット」利用率が若干低く、「旅行会社の店頭窓口」や「電話窓口」で購入する割合が他のタイプよりも10%程度高かった。
さらに、リピートユーザーとなっているサイトにも違いが出た。以下は4タイプのユーザー別の上5位までの表である。どのタイプでも、「じゃらんnet」「楽天トラベル」「Yahoo!トラベル」が上位を占めているのは同じだが、「こだわりリッチ」派のみ3位以内に「JTB」がランクインしている。「安さ重視」派と「利便性重視」派はこだわりのなさを反映してか、「リピートしているサイトはない」がともに4位に入っている。
リピート理由にも違いが現れている。「こだわり徹底比較」派と「安さ重視」派では、「価格がお得なことが多いから」が最も多いのに対して、「こだわりリッチ」派では「希望条件に合った商品の検索がしやすいから」が最も多い。また「こだわりリッチ」派は他の3タイプと比べて、「情報が頻繁に更新されるから」「写真・画像が多くて旅行のイメージがわきやすいから」の割合が多いのが特徴的である。
最後に、ネット予約サイトで、「安さ」以外の新たなサービスが開始された場合の利用意向についても比較した。ネット予約は、従来は店舗型と比べ低価格をウリにしていたが、最近では同業間の低価格競争が激化し、「安さ」以外でも勝負する新たな局面を迎えたと言われている。
例えば、一休.comは一定の利用実績がある会員向けに、予約が取りにくいホテルや旅館の部屋を優先的に提供するサービスを今年秋にも開始すると発表。また楽天トラベルも高級宿泊専門の「プラチナコレクション」を開設、旅行相談に対して専門家の助言が受けられる「プライベートコンシェルジェ」などの付加サービスを、購入実績豊富な「プラチナ会員」に限定して提供し、対象施設を今後増やすと発表している。このような新たなサービスの利用意向を4タイプ別に分類したところ、利用意向は「こだわりリッチ」派、「こだわり徹底比較」派の順に高くなった。
特に、「こだわりリッチ」派は「世約の取りにくい部屋が優先的に取れるサービス」について、2割程度の人が「年間利用額10万円以上の人だけ利用できるなら、このサイトを優先的に利用したい」と回答しているほか、一定以上の年間利用額を払っても「利用したい」と答えた人が過半数を超えた。
ネット予約の普及とともに競争が激化している旅行予約サイト。サイトを訪れる顧客を購買行動・特性によっていかにセグメンテーション化し、その顧客に見合ったサービスを訴求・提供していけるかが、これからますます求められていくのかもしれない。
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