レノボ・ジャパンは11月13日、同社のノートPC「ThinkPad」に採用されている、キーボードに関するテクノロジーブリーフィングを都内で開催した。普段は神奈川県大和市の開発拠点である「大和事業所」で開発にあたっているエンジニアを囲み、定評あるThinkPadのキーボードの開発にあたっての取り組みを語った。
同社でキーボードの開発を担当する堀内氏は1998年に発売された「ThinkPad 600」以降の、ほぼすべてのThinkPadでキーボード開発を行ってきた人物だ。同氏によると、キーボードに求められる3条件とは「1.速く打てること」「2.タイプミスが少ないこと」「3.長時間使用しても疲れないこと」であるという。
その条件を具体的に実現するために、「1.キーフィーリング(打鍵感覚)」「2.キーキャップ形状、キー周辺形状」、何列にするかやファンクションキーをどこに置くかなどの「3.キーのレイアウト」。さらに業界全体で主流となっているタッチパッドやThinkPadの採用するトラックポイントなどの「4.ポインティングデバイスとの組み合わせ」の“トータルバランス”を意識しながら開発を進めているという。
薄さが求められるノートブックの場合、デスクトップと違ってキーのために確保できる厚みがシビアであり、「デスクトップでは3cmほどスペースがとれるためシリンダータイプでもよかったが、ノートブックの場合はたいてい6mm程度しか取れない」という。そのためシリンダータイプの構造では「キーキャップ」の端を押し下げたときにキャップ自体が斜めになってしまい、正しく反応しなくなるのだという。
ThinkPadでは、これを解決するためスイッチ機構に薄いシート状の「メンブレンシート回路」を使用。そのシートの上に「ラバードーム」を乗せ、さらにX字にクロスした「シザーズ(パンタグラフ)」、指の触れる「キーキャップ」を乗せて各キー構成している。X字に配置した「シザーズ」は「キーキャップ」の隅でも、どこかが下がれば全体が下がり、水平をキープ。正しくスイッチが入るよう構成されている。
また、ベースとなる「メンブレンシート」は上下2枚の2重構造。ラバードームが押し下げられて「メンブレンシート」の上下が接触するとスイッチが入るしくみだ。
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