「Windows Vista」をパソコンの新製品に搭載する準備はまだ整っていない。しかし、コンピュータメーカーが、この新OSを年末のホリデーシーズンで扱うことをあきらめているわけではない。
PCメーカーと小売店はすでにいくつかのPCモデルを「Vista対応」として売り込んでいる。コンピュータ業界がきわめて重要な年末商戦に向けて準備を進めるなか、まだ完成していないVistaへのアップデートがさらなる注目を集めそうだ。
Microsoftは2007年のVista発売時には、2006年中にPCを購入した場合も手頃な価格で簡単にVistaに移行できるような、何らかのプロモーションを行う計画だ。プラットフォーム&サービス部門担当共同プレジデントのKevin Johnson氏は、2006年5月のCNET News.comとのインタビューで、MicrosoftはホリデーシーズンのPC購入者に対し何らかの技術保証の提供を検討していると語った。
「ええ、たぶん(何か用意することになるでしょう)。今は詳細を詰めているところです」と、Johnson氏は話していたが、Microsoftはまだ、具体的に何を提供するか明らかにしていない。
一部のアナリストは、Microsoftが無料もしくはそれに近い形でVistaにアップデートできるクーポンを提供するのではないかとみている。ただし、基本バージョンへのアップグレードに限定されるかもしれない。その場合、新グラフィカルインターフェース「Windows Aero」や「Windows Media Center」といった機能を搭載した「Windows Vista Home Premium」を使うには追加料金を支払うことになるだろう。
あるいはMicrosoftは、現在の「Windows XP Media Center Edition 2005」からWindows Vista Home Premiumへのアップグレードを提供するかもしれない。
市場調査会社Endpoint Technologies Associatesの社長であるRoger Kay氏は、「クーポンを出すのは意味のあることだ。そうすべきだ」と語る。
しかし、市場調査会社NPD GroupのアナリストであるStephen Baker氏は、無料アップグレードでさえ、PCの売り上げの大きな落ち込みを回避するのに十分かどうかわからないと述べている。
Microsoftはもともと、期限に合わせるために機能を削ってでも、2006年11月〜12月のホリデーシーズンにVistaを発売したいと考えていた。しかし2006年3月になって同社は、新型PC向けのソフトウェアは2007年1月まで準備できないだろうと述べた。このことは、2006年のホリデーシーズンの売上見通しに暗い影を落としている。
「不確定な部分が大幅に増えた」とBaker氏は話す。(プレゼントに何を買おうかと考えている人に)「『今年のホリデーシーズンにはPCを買わないことにしよう。そうだな、薄型テレビを買おうか』と言わせるだけの理由を与えてしまっている」
Current AnalysisのアナリストSamir Bhavnani氏によると、Vistaの遅れを発表したときMicrosoftは、小売店とPCメーカーを救済する何らかのプログラムを提供する必要があることもわかっていた。そうした措置によって、ホリデーシーズンの予算をほかのエレクトロニクス製品にまわさず、PCを購入しようと考える人がいるかも知れない。
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