「世界最速」は誇大広告? -- 米アップルのテレビCM、英国で放映中止に

 英国のテレビ放送監督機関は、Apple ComputerのPower Mac G5のコマーシャル放映を禁じた。同社による「(G5は)世界最速のパーソナルコンピュータ」との主張が、完全には立証できないというのが、この禁止の理由だという。

 監査担当部門は当初このCMを承認していたが、視聴者からの8件の苦情を受けた独立テレビ委員会(ITC)が今週になって放映中止を決定した。同委員会では、「『世界最速かつ最強のパーソナルコンピュータ』であるというAppleの主張を裏付けるのに、十分な証拠がなかった」と結論付けている。

 さらに同委員会は、「この主張を立証あるいは反証する証拠から、コンピュータが常に性能を向上させていて、アプリケーションやベンチマークの種類も多数あることが分かり、この主張は立証できない」とする、ある視聴者の疑念に同調したともコメントしている。

 ITCの関係者によると、同委員会が放映中止という判断を下したことで、このCMは現状のままでは放映できないことになるという。

 Appleの関係者は、今回の措置についてコメントを控えている。

 同社は現在、英国サイトのPowerMac G5に関するページは一部変更され、米国サイトとは僅かに異なるものになっている。Apple U.Kのページには問題のテレビのCMクリップがなく、G5が最速のパーソナルコンピュータであるとするAppleの主張を正当化する脚注が追加されている。

 多くのベンチマークの結果に云われることだが、G5のパフォーマンスに関する主張もAppleの計測手法に賛否両論があり、既に論争の的となっている。

 Appleは、G5がPentium 4/3GHzベースのDell Dimension 8300やDual Xeon/3.06GHzベースのDell Precision 650の性能を上回ることを示すSPEC(Standard Performance Evaluation Corporation)ベンチマークの結果を引用している。これらのテストはAppleが依頼したものだが、独立系テスト企業であるVeritestが実際の計測を行った。

 Veritestは、同じGCCコンパイラを両マシンで利用しており、Dellのハードウェアにはハードウェアのパフォーマンス比較に最適だとしてLinuxオペレーティングシステムを搭載している。批判側は、GCCの代わりにWindows OSとIntelに最適化されたコンパイラを使えばベンチマーク結果が向上するとし、これを非難している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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