Apple ComputerがMotorolaと共同開発したiTunes対応の携帯電話「ROKR(ロッカー)」を発表してから1カ月が経過した(関連記事)。日本ではROKRの展開は未定だが、iTunesに対応する「iPodケータイ」をNTTドコモが開発するのではないかという観測がある。
そもそも、携帯電話で音楽が聞けるという発想は日本のKDDIが先行していた。KDDIがauで着信メロディに楽曲を利用できる「着うた」サービスを開始したのが2002年12月のこと。2004年11月には楽曲を1曲すべてダウンロードできる「着うたフル」も開始した。これらのサービスは第3世代携帯電話の高速な回線を利用する必要があるため、第3世代携帯電話の普及が遅れたドコモでは、音楽サービスもauに遅れを取っていた。その巻き返しを図るための秘策がiPodケータイだというのだ。
現在のところ、iPodケータイを開発しているのはMotorolaだけ。そしてドコモはMotorolaと第3世代携帯電話の共同開発に合意しており、2005年6月にはPDAライクな携帯電話端末「M1000」を発売しているなど(関連記事)、Motorolaとの関係は深い。
音楽サービスでauに遅れを取っているという点ではボーダフォンも同じだが、英Timesが伝えたところではAppleはiPodケータイの英国における展開に関して、O2と提携したという。AppleはiPodケータイに関して、1つの国で1つの携帯電話事業者と提携する方針と言われており、英国本国でiPodケータイを展開しないボーダフォンが日本でサービスを提供する可能性は極めて低い。
これらの理由から、NTTドコモがAppleと組んでiPodケータイを日本で展開するのではないかという噂が囁かれているのだ。
では、実際のところ、当事者たちはどのように考えているのだろうか。まずNTTドコモの広報部では、「社内で検討しているのは事実だが、具体的な話は何もない」と話す。ドコモでは高いシェアを持つiPodやiTunesと携帯電話を連携させることに魅力は感じているというが、「ユーザーのニーズを含めて検討している」という状況だ。Appleとの話し合いについては、「話し合いをしている事実はない」とした。
アップルコンピュータ(日本法人)の広報部は「事実の真偽は不明」としてコメントを避けた。また、モトローラ(日本法人)でも「コメントする状況にはない」としている。
ドコモのライバルで、音楽サービスで先行するKDDIはiPodケータイについて、「幅広く検討する上での1つの選択肢ではある」(広報部)としてKDDIでも検討していることを明らかにした。ただし、「音楽ケータイを実現するのはAppleとの連携だけではない」と慎重な姿勢も見せている。同社の端末では着うたフル対応機種のほかに、PCから端末に楽曲を転送できる機種もある。「着うたとPCを利用した音楽配信は住み分けができている」という認識で、今後の展開については明言を避けた。また、ボーダフォン広報部では「現時点で決まったことは何もない」として、iPodケータイの提供を検討しているかという点についてもコメントしなかった。
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