私的録音録画補償金制度の見直し、いわゆる「iPod課金」について検討を続けている文化審議会著作権分科会法制小委員会は、9月30日に第8回の審議を開催した。
今回の審議では、8月25日の第7回審議の後、9月8日に著作権分科会へ提出された中間報告書「審議の経過」について、論点が再整理された。
審議の経過については、現在パブリックコメントを募集中で、9月30日時点で合計167件の意見があると発表された(関連記事)。なお、パブリックコメントは10月7日まで募集中となっている(関連記事)。
今回の審議が論点についての再整理ということで、意見の大きな進展はなかった。今回までに話し合われた論点について、大きくまとめると以下の2点となる。
1.では、まず、現行の制度では、たとえば自分の子供映像を撮影したビデオなど、著作物の私的録音および録画をしない場合でも機器や記録媒体購入時に補償金を負担しており、複製をするユーザーの正確な補足が困難なこと、またPCなど汎用的な機器への複製などを含め複製対象となる機器や記録媒体の正確な補足が困難なこと、そして権利者へ正確に補償金が配分されていないといった問題が起こっていることなどを挙げた。
さらに制度自体が消費者に知られておらず、またDRMなど技術的に私的録音録画の補足が可能になってきたため、「機器や記録媒体購入時にすべてのユーザーが補償金を払うべき」としていた根拠が失われつつあるとしている。
2.では、今後の補償金の扱いについては2つのいずれかの対応をする必要があるとしている。1つは、今後とも補償金制度の見直しを図りながら現行制度を機能させるというもの、もう1つはもしくは代わりとなる「保障的措置」の導入をするというものである。
また、音楽のネット配信について、iPodなどを補償金の対象とする場合、「補償金の二重取りになるのではないか」という意見があるが、その一方で、JASRAC関係者は「配信事業者がJASRACに支払っているのはあくまでPCへダウンロードするまでの利用料」との主張を貫いており、日本芸能実演家団体協議会関係者からは「極端な話だが、PCを通じた音楽のコピーをできないようにすれば(iPod課金に関する問題は)解決する」といった発言もなされた。
日本芸能実演家団体協議会からは「デジタルオーディオプレーヤーへのシフトが現実に起こっているのに、手を打たずに補償金がゼロになってしまうのは困る」という意見も出た。これに対して、他の委員からは「MDの売り上げは下がっているが、Sarah(私的録音補償金管理団体)が困っても、権利者が困らなければいいのではないか」との意見も挙がった。
今回の審議では、日本音楽著作権協会や日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会3団体の連名で「ハードディスク内蔵型録音機器等による指摘録音から著作権者・著作隣接権者が受ける経済的な影響(速報版)」という資料が提出された。
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