Samsungは米国時間1日、Wi-Fi波の受信距離と転送速度を大幅に向上させる新技術を搭載した世界初のノートPCを発表する。
SamsungがノートPCに組み込むのは、新興企業のAirgo Networksが開発したMIMO(multiple input、multiple output)技術を利用するチップで、この技術を使えば無線ネットワークの帯域幅や転送速度、受信距離を大幅に向上させることが可能だ。Airgo幹部の話では、この技術を使った場合のデータ転送速度は、理論値で100mbpsに達するが、実際には平均で約45mbpsとなり、また受信距離は約600〜900フィート(約180〜270メートル)まで拡大するという。
802.11g規格に準拠している今日の無線ネットワークでは、受信距離は150〜300フィート(約45〜90メートル)で、データ転送速度は最高54Mbpsだが、実際の平均値はほぼその半分だ。
LinksysとBelkinは、AirgoのMIMO技術を利用した無線ルータと無線ネットワークインタフェースカードを既に販売している。Samsungは、同技術を利用するチップをノートPCに内蔵した最初のPCメーカーとなる。
MIMOは802.11gと802.11bの両規格に準拠しているが、ただし802.11に対応した同一の信号チャネル上で、同時に2つ以上の異なる信号を干渉させずに転送することが可能であるため、これまでの技術に比べてより多くのテータを転送できる。
現在、無線接続機能を備えるほとんどのノートPCには、IntelのCentrinoチップバンドルが採用されている。これらのチップでは、無線信号の送受信に、単一のチャネルを使用する。一方、Samsungが採用したAirgoチップでは、2チャネルを使用することになる。
このデュアルチャネル技術は、より多くのデータを送信するだけでなく、接続の信頼性も向上させる。単一チャネルの場合、壁に反射して戻ってくる無線信号に妨害され、接続性や速度が低減する。しかし、MIMOを利用したチャネルの場合、反射した信号を受信しても、信号が分散して弱まることがない。
また、複数チャネルを使った場合、従来のWi-Fi製品で問題となっていた壁などの障害物に信号の送受信が妨害されることもない。
MIMO技術を搭載したSamsung製ノートPCは、米国時間1日に発売になる。しかし、Samsungは、消費者向けの直売を米国内で行っていないため、ノートPCに搭載されたMIMO技術を使うにはしばらく待つ必要がある。Samsungは、Dellと米国市場での再販契約を結んでいるが、対象となる製品はMIMO技術を搭載していない。Airgoによると、同社はMIMOチップ搭載に関する同様の契約について、他のノートPCメーカーと交渉中だという。
MIMOは、米電気電子学会(Institute of Electrical and Electronic Engineers:IEEE)が検討中の次世代無線規格802.11nに含まれると見られている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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