1982年に設立されたElectronic Arts(本社:カリフォルニア州レッドウッドシティ)は、過去20年間のビデオゲームブームに乗り、全ての競合他社が小さく見えるほどの巨大なゲーム帝国を築き上げた。全世界におよそ5000人の従業員を抱え、2004年度の売上は前年から19%以上増加し、32億ドルに達した。EAが最近、規制当局に提出した文書によると、同社の現金保有高はおよそ25億ドルだという。またEAの株価は2004年に22%値上がりし、時価総額は178億ドルに達した。
急成長を遂げたEAは、ゲーム業界で絶大な影響力を持つようになった。同社は12月下旬に、Tom Clancyの小説をゲーム化した人気シリーズで知られるUbisoftの株式を取得し、その影響力を見せ付けた。
UbisoftのCEO、Yves Guillemotはインタビューの中で、「(EAが説得力ある言葉で明確に否定しない限り)私はEAの行動を敵対的(買収)と見なす」と語った。
調査会社DFC Intelligence社長のDavid Coleによると、EAが最大のライバル企業の1つであるUbisoftを買収したがる理由は、それによって同社に金銭的メリットがあるからだという。
Coleは「今やEAの市場価値は絶大で、それを維持しなくてはならず、そのためには持続的かつ大幅な成長が必要だ」と述べた上で、「常にエサをやり続けなければならない大型犬を飼っているようなものだ」と付け加えた。
しかしColeは、Ubisoft幹部らの反応や、EAの雇用者として評判が芳しくない点を考え合わせると、EAがUbisoftを完全買収する可能性は低いと述べている。同氏は「ゲーム業界では敵対的買収の話はほとんど聞かない」と述べ、その理由として「買収によって得るものの多くは才能ある開発者たちだが、彼らは新たな雇い主が気に入らなければ、自ら会社を辞めることができる」ためだと説明した。
EAのBrownによると、オランダメディア界の実力者、John de MolがUbisoft株の売却を計画していることを明らかにした際、EAの幹部はその株式が敵の手に渡ることを何としても阻止する決断を下したという。
この点について、Brownは「何者かが(Ubisoftの)株式を取得しようとしていたため、われわれ自身も取得に乗り出すことが戦略的に重要と考えた」と説明した。ただし、EAにはUbisoft株の保有数を増やす計画は今のところないという。「われわれはUbisoftの良き株主として行動する所存だ」(Brown)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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