「Mac miniはお買い得」は本当か - (page 2)

　さらに、Mac miniに機能を追加するとPCとの価格差はさらに広がる。

　499ドルの1.25GHz版miniに512MバイトのRAM、80Gバイトのハードディスク、キーボードとマウスを追加すると、価格は782ドルになる。一方、599ドルのmini（80Gバイトハードディスクを搭載済み）に512MバイトのRAMを搭載し、周辺機器も加えると、価格は832ドルになってしまう。

　同じような構成のWindows PCの例としてはHP Compaq Presario SR1000Zがあるが、HPShopping.comでは、AMD Sempron 3000+、512MバイトのRAM、80Gバイトドライブ、そしてDVD-Rドライブの構成で、50ドルのキャッシュバック適用前で519ドルとなっている。このPresarioのCPUをAthlon XP 3200+にアップグレードすると30ドル追加となり、値引き前で549ドルになる。また、Nvidia GeForce FX 5100グラフィックスカードの追加は70ドルで、キャッシュバック前で合計619ドルになる。HP、Dell、GatewayなどのIAシステムも、キャッシュバック前の段階でPresarioの約50ドル前後に収まっている。

　また、Mac miniはアップグレードした場合ワイヤレス対応の低価格ノートブックとも競合してくる。

　Appleは、miniの購入者の多くはすでにキーボードと余ったモニタが手元にある、と主張するだろう。だが、すべてがそろったパッケージ製品を探している顧客にとっては、HPなどの企業が販売するPCに、モニタがバンドルされているというメリットがある。

　BakerもKayも、購入者の多くが同マシンを2、3もしくは4台目のPCとして選択することになるので、入力デバイスを省いたことは同社に有利に働くか、少なくとも打撃にはならないとの考えだ。また、同製品にはユーザーが絶賛するApple製ソフトも同梱されている。Glaskowskyは、Appleのソフトウェアやマシンがウイルスの影響をはるかに受けにくい点も指摘する。

　オンラインレビュー／ベンチマークサイトAnandTechの編集長、Anand Shimpiは、「友人や家族にPCの技術サポートを提供することに嫌気が差したら、多くの場合はMac miniを購入させるだけで問題が解決する。同時に、OS Xは使ったことがないが関心がある、という人々にとっても、コストという障害が排除されることになる」と書いている。

　Appleの支持者らはおそらく、同マシンの心臓部に搭載されるPowerプロセッサの方がIntelやAMDのチップより優れている、とも主張してくるだろう。ただ、これは難しい問題だ。Microprocessor Reportの編集長Kevin Krewellによると、まず、Powerチップとx86チップを比較するベンチマークがほとんどないという。そして、低価格モデルの購入者はそのようなことを気にかけないという。

　「G4の1.25MHz版をx86チップと大まかに比較した場合、現行のミッドレンジx86 CPU（Athlon 64 3000+やPentium 4 2.8GHz）よりも遅いだろうが、ローエンドのCeleronとは良い勝負になるだろう。G4と現行世代のx86アーキテクチャを直接比較するのはかなり難しい。それをふまえた上だが、同価格帯のDellのシステムとは良い勝負になるだろう」（Shimpi）

　結局のところ、同製品の成否は販売実績では判断できないかもしれない。Appleにとっては、人々を自社の店舗におびき寄せる手段になることがMac miniの最大の魅力になるのかもしれない。来店したところで営業スタッフがもっと高価なマシンを勧めていくのだろう、とKayは推測する。

　技術アナリストのTom Kingは「全般的に見れば、小売店利用者が欠陥も含めてMac miniのあらゆる点に反応を示すはずだ。これにより、この新シリーズを細かく見直せるようになる。また、Target、Kmart、Wal-Martなどの大規模ディスカウントチェーンでは、『iPod mini + Mac mini』といったマーケティング／販売チャンスにつながる可能性もある」と電子メールで述べている。

　そして、少なくとも1人のアナリストは、Mac miniの登場でWindowsユーザーのMacへの移行が進むとしている。Needham and Co.のアナリストCharles Wolfは、「Mac miniは、iPodを保有するWindowsユーザーのMac購入率を3倍近く増加させると思う」と語った。