Linuxソフトを販売する米Lindows.comは、米Microsoftの独占禁止法問題につけ込んで、自社のPCとソフトウェアを無償で提供するという新たなプログラムを展開し始めた。
米国時間16日に始まったMSfreePCキャンペーンは、先頃カリフォルニア州で和解に至った、Microsoftによる独占禁止法違反を訴えた集団代表訴訟において、和解の対象となる全てのユーザーの請求を、Lindowsが代わって処理するというものだ。
この訴訟を和解に持ち込むため、Microsoftはあわせて11億ドルにのぼる和解金の支払いに合意した。その結果、1995年の2月18日から2001年12月15日までの間に、Windowsあるいは他のMicrosoft製アプリケーション(パソコンの購入時に付属していったMSDOSやWindowsソフトウェアを含む)を購入した個人及び企業は、5ドルから29ドル相当の引換券を受け取り、それを使ってどのメーカーのハード/ソフトウェアでも購入することができることになった。この訴訟を担当した法律事務所のTownsend and Townsend and Crewでは、今週始めからこの引換券の請求書式を配布している。
Lindowsは、カリフォルニア州に現在居住しているか、あるいは過去に居住していたことのあるユーザーに代わって、Microsoftへの請求を処理しようとしている。同社のウェブサイトにある「Instant Settlement Wizard」を利用して請求手続きをした対象者には、すぐにLindowsのソフトウェアかハードウェアを購入できるクレジットが与えられる。さらに先着1万人には、Lindowsが今年始めに発表した、WebStationという必要最低限の機能を搭載したPCを無料で配っている。
Lindowsの最高経営責任者(CEO)、Michael Robertsonは、このプログラムについて、コンシューマーが権利を主張しやすくすることで、Microsoftがしっかりと責任を果たすようにするための手段だと説明している。今回の和解によって発生するMicrosoftの支払額は、請求申請者の数によって、3億6700万ドルから11億ドルにのぼる可能性がある。
「もしMicrosoftが本当に11億ドルで和解しようというのなら、その金額を実際に支払うべきだと私は思う。コンシューマーが請求申請にあたって求められるプロセスは、まるで恐ろしく込み入った迷路のようだ・・・それほど複雑でなくてもよさそうなものだが」(Robertson)
さらに、Linuxを試そうとしている人々にMicrosoftがその代金を支払うという考えには少しだけ詩的な部分もある、と彼は付け加えた。「市場を再び活性化させ、競合同士がしのぎを削るような状態にするのに、Microsoftが支払う金の一部が使われるとなれば、それこそ正義のなせる技だと思う」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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