「利益よりシェアが大事」:NEC、パソコン新会社の戦略を発表

永井美智子(CNET Japan編集部)2003年06月30日 20時00分

 NECは6月30日、コンシューマ向けパソコンの生産から販売まで一括して行う新会社「NECパーソナルプロダクツ」の事業戦略発表会を開催した。

 NECパーソナルプロダクツは、コンシューマ向けパソコンの製造から販売・サポートまで一貫して行うことを目的として、パソコンの開発・生産を行うNECカスタムテクニカと、販売・マーケティングを行うNECカスタマックスが合併してできた新会社。7月1日から営業活動を開始する。

 今回の合併の経緯についてNEC執行役員常務でNECパーソナルプロダクツ代表取締役社長に就任する片山徹氏は、2002年度下期にNECのパーソナル事業が黒字化を達成し、社員の意気が向上してきたこと、変化の早いパソコン業界において意思決定の速度を高め、全体を最適化するためには生産から販売までを1つの会社として統一する必要があったことを挙げる。

NECパーソナルプロダクツ代表取締役社長に就任するNEC執行役員常務の片山徹氏

 片山氏は2003年度をパーソナル事業の「V字回復の年」と位置付けていると話し、具体的な業績目標については、「営業利益を2桁後半(億円)としたい」と意気込む。組織や事業の構造改革が進んでいること、製造原価を低減することで、この数値は達成可能とした。とくに原価低減については、「NEC全体で、2002年度は前年比30%の削減を達成した。パーソナル事業で言えば、ここ2年間で40%の削減に成功しており、今後2年間でさらに30%の削減を目指す」という。

 NECでは2002年度の国内シェアが第1位となっており、引き続きシェア第1位の地位を保持することに力を注ぐ方針だ。「パソコンはコモディティ(日用品)化した商品のため、シェアを取らないと利益が出ない」(片山氏)。さらに、「利益重視というのはわかりにくい。利益よりもシェアが大事だと考えている」と語った。

 なお、ガートナーの調査によると、2002年の国内市場でNECはシェア22.7%の第1位となっている。しかし2位の富士通のシェアは21.0%となっており、その差は1.7ポイントしかない。

 また会場では、今後1〜2年内に商品化される予定の新製品群として、水冷式や燃料電池のノートパソコン、音声同時通訳端末、PDAサイズのノートパソコンなどが明らかにされた(関連記事)。

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