NECは6月30日、NECパーソナルプロダクツの戦略発表会において、今後1、2年内に商品化される予定の新製品を紹介した。
会場には水冷式や燃料電池のノートパソコン、音声同時通訳端末、PDAサイズのノートパソコンなどの試作機やモックアップなどが多数展示された。
厚さ5mmのノートPC用水冷モジュール
まず注目を集めたのがノートパソコン用の薄型水冷モジュールだ。圧電ポンプを利用して冷却液を循環させる。この仕組みはNECによると「世界初」という。NECではすでに水冷式のデスクトップパソコンを開発・販売しているが、今回は厚さ5mmの圧電ポンプを開発・採用し、さらにポンプやタンクなどを、巡回水路を内蔵した厚さ3mmのアルミニウム放熱板に一体化させ、モジュール化することで、薄型のノートパソコンに内蔵できる大きさにした。
会場では7月に発売予定のノートパソコンに水冷モジュールを組み込んだものを展示していたが、「厚さはほとんど変わらない」(説明員)とのこと。価格も「通常のものに比べて数千円高くなる程度」(説明員)という。ただし安全性に関してはまだ検証の余地があり、2年以内の商品化を目指すとしている。
燃料電池駆動のノートPCも
燃料電池駆動のノートPCのモックアップ。左にあるのがメタノールを注入する道具 | |
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また、燃料電池内蔵のノートパソコンも展示された。燃料はメタノールをカートリッジにして、取り替えられる形にしている。2年以内に1本のカートリッジで1週間のビジネスアワー分に当たる40時間駆動するものを開発していきたいという。また、カートリッジを取り替えるのではなく、直接注入する方式も検討中とのことだ。
ただし価格については「現段階ではかなり高い」(説明員)という。「通常のリチウムイオンバッテリの倍程度の値段に抑えられるように開発を進めている」(説明員)と話しており、実際に販売される段階でも受注生産のような形になる見込みという。商品化は2年以内を目指している。
Windows XP搭載のマイクロPC
今後1年内の商品化を目指すものとして発表されたのがPDAサイズのノートパソコン「マイクロPC」、音声同時通訳端末の「トラベル通訳端末」などだ。
マイクロPC | |
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マイクロPCはWindows XPを搭載するなどノートパソコンの性能をそのままPDA程度の大きさにしたもの。無線規格も802.11b/a/gの3規格に対応できるという。片手で操作できること、手の平になじむ大きさであることを重視した製品で、展示された製品は携帯のようにボタン操作できるようになっていた。ただし、「様々な形を検討中であり、この形に決まったわけではない」(説明員)とのこと。価格は「通常のノートパソコンと同じ15万円から20万円程度を考えている」(説明員)という。
音声同時通訳機は手のひらサイズ
トラベル通訳端末。右のストラップの先に付いているのはタッチパネルを操作するスタイラス | |
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トラベル通訳端末は日英の音声通訳機で、音声入力したものをリアルタイムで変換する点が特徴。旅行で使う会話に絞ることで、音声認識率を以前の3倍に高めたという。また、無線LANカードを差し込み、家庭内のホームサーバに溜めた動画をストリーミングで見たり、メールチェックやWebブラウジングもできるという。
大きさはパスポートより少し小さい程度。展示されていたモックアップの重さは約200gで、発売時にはそれより少し軽くなる予定という。価格は「現在売れ筋の電子手帳が4〜5万円なので、その程度」(説明員)とのことだ。なお、マイクロPC、トラベル通訳端末は現在のところ海外で展開する予定はないという。
ほかにも映像と音声を3D化したノートパソコン「3D View & Sound Note」や、様々なコンセプトモデルが展示され、NECのコンシューマ向けパソコン事業にかける意気込みの高さがうかがわれた。
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