JR東日本グループで清涼飲料の卸など自動販売機事業を展開するJR東日本ウォータービジネスは8月10日、“マーケティング頭脳”を搭載したという新型の飲料自販機2台を、JR品川駅改札内に先行導入した。
自販機本体には47型タッチパネルディスプレイを搭載。購入者が自販機周辺にいない時は、ディスプレイ全面を使って季節や時間帯、温度などに応じたコンテンツを表示し商品訴求する。
購入者が自販機に近づくと商品の陳列棚をイメージした画面に切り替わり、ディスプレイに表示される商品部分に触れると、商品をSuicaなど電子マネーと硬貨の両方で購入できる。また、売り切れた商品を非表示にし、ほかの商品に置き換えることができるほか、災害時に無料で商品を提供する機能も備えている。
本体内部には、購入者の属性を判断するカメラが搭載されており、購入者の性別や年齢にあわせたお勧めの商品を表示することもできる。同社によると搭載されたカメラの精度は、性別が94%、年齢が75%という。なお、購入者の映像や個人情報は保存されないとしている。
自販機と本社はWiMAXで接続されており、コンテンツのほかに属性判断の結果とPOS情報を連動させたマーケティングデータをリアルタイムで配信する。2009年9月に発表した「電子マネー自販機プラットフォーム」を採用しており、遠隔地から自販機の在庫を確認することもできる。
また、モバイル用FeliCaリーダ/ライタを搭載しており、電子マネーを使った商品購入のほか、モバイルサイトへの誘引も可能になる。このほか取り出し口を変更すれば、缶やペットボトル以外の特殊形状商品を販売することも可能という。加えてユニバーサルデザインを採用しており、取り出し口の高さが床上45cmと、女性が膝を曲げずに商品を取り出せるように設計されている。
JR東日本ウォータービジネス代表取締役社長の田村修氏は、「これまでの自販機は男女に関わらず、たとえばコーヒーならコーヒーだけを紹介していた。今回の製品は、駅内に設置するため、ターゲットは老若男女を問わない。マーケティングデータに基づいて、お勧めする商品や品揃えを検討できる可変的なところが大きな特長」と述べた。
今回、自販機のデザインを手掛けたインダストリアルデザイナーでDesign Studio S代表の柴田文江氏は、「操作部を集約し、使いやすさに重点を置いた。本体はあくまでサブで形状の主張を抑えている。今回、私たちは新しいマシンを提供するのではなく、新しい体験を提供できるようにしている」とコメントした。
JR東日本ウォータービジネスによると、今秋以降をめどに本格展開する予定という。今後はJR東日本と連携し、2年以内に東京近郊のターミナル駅を中心に約500台設置するとしている。表示するコンテンツについては、当面は購入者とのコミュニケーションとしてカテゴリ訴求するといい、広告配信などは検討していくとしている。
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