ドワンゴとニワンゴは10月3日、動画コミュニケーションサービス「niconico」において、企業や著名人向けに提供していた「ニコニコチャンネル」を、一般ユーザー向けに開放することを発表した。ユーザーは12月より、個人専用のプラットフォーム「ユーザーチャンネル」上で、動画や生放送の配信、ブロマガへの投稿などができるようになる。
チャンネル開設者は月額課金や都度課金機能も使用できるようになり、チャンネルを視聴する会員から直接報酬を得られるようになる。月額課金の設定可能な上限額は設けていないが、キャリア決済などの上限があることから、同社では105円~1575円を推奨金額としている。また都度課金の上限額は動画が5万円で、生放送とブロマガは設けない。このうちクリエイターには手数料を差し引いた7割の金額が支払われる。現時点では未成年ユーザーの課金制限などは設けない。
ただし、ユーザーチャンネルはすべてのユーザーに開放するわけではなく、応募者の中から同社の審査を通過したユーザーのみがチャンネルを開設できる。第1弾として、12月に15人のチャンネルを開設する予定で、10月3~31日まで応募を受け付け、11月中旬に1次通過者を発表する。
応募条件は自身のお気に入り登録、またはコミュニティ参加者が1万人以上のユーザー。1万人以下でも企画書を送付して応募できる「チャレンジ枠」も設ける。さらに、2014年2月には第2弾として新たに15人の参加者を募集し、2014年中に100人まで拡大していきたいとしている。
ドワンゴではこれまで、さまざまな方法でクリエイターの創作活動をサポートしてきた。たとえば、2008年4月には日本音楽著作権協会(JASRAC)と包括契約を結び、JASRACの管理楽曲をニコニコ動画の「歌ってみた」や「演奏してみた」で使用できるようにした。また、その後も各音楽会社から原盤利用の許諾を得るなどしている。
さらに2011年12月には、プレミアム会員収入の一部を原資として、ニコニコ動画で人気の作品を投稿するクリエイターに奨励金を付与する「クリエイター奨励プログラム」を提供。2013年5月までに7153人のユーザーに総額5億9355万円分を支払っており、1000万円以上を受け取っているユーザーも7人ほどいるという。
また、動画の下部に関連商品を表示させるアフィリエイト「ニコニコ市場」や、ユーザーがニコニコポイントを支払って特定の動画を宣伝できる「ニコニ広告」、有料のブログやメルマガなどを配信できる「ブロマガ」など、ユーザーがネット上で課金して、企業やクリエイターを支援する仕組みや機能も幅広く用意してきた。
同日の記者発表会で登壇したニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏は「クリエイターの創作活動には当然コストがかかり、ユーザーはその価値提供に対しての対価を払う。その収益からさらに再投資することでサービスはどんどん良くなるし拡大する。このサイクルは、通常の経済の考え方では当たり前のことだが、なかなかネットでは定着しずらい。そこであえてニコニコというフィールドの中で、そういった文化や自意識をきちっと推進すべくやってきた」と語り、ユーザーチャンネルもその一環だと説明した。
なお、クリエイター奨励プログラムで奨励金を受け取っているユーザーも、チャンネルを開設することは可能。また、ユーザーチャンネルに投稿される作品の著作権について申し入れがあった場合は、従来のニコニコチャンネルと同様に、事実確認をした上で著作権者の希望する方法で対処する。
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