消費者はより良いセキュリティソフトウェアをより安く手に入れられるようになっている。
NPD Groupのデータによると、Microsoftが消費者向けセキュリティソフトウェア市場に参入したことを受け、PCのセキュリティ対策にかかる費用が下落しているという。同時に、セキュリティ製品が一段と包括的なものにもなりつつあると、同社は述べる。
NPDのアナリストChris Swenson氏は、「Microsoftは価格面で市場を震撼させた」と述べている。さらにMicrosoftのWindows Live OneCareのおかげで、ライバル企業各社はツールを個別に販売するのでなく、さまざま機能を足し合わせた製品を販売せざるを得なくなるなど、競合企業の製品戦略にも影響が出ていると同氏は述べる。
NPDが先週まとめたデータによると、セキュリティスイートやPC保守のパッケージ製品の平均小売価格は、7月に2年ぶりの安値となる54.57ドルを記録し、その後も下落傾向にあるという。Microsoftの参入により、大手のSymantecやMcAfeeは自社製品の強化を余儀なくされ、高い価格設定では苦戦を強いられるようになる、とアナリストは見ている。
OneCareの発売により、消費者向けセキュリティ製品市場での競争が激化している。Gartnerの調査によると、2005年には、消費者向けウイルス対策ソフトウェアの世界市場規模が前年比17%増の19億5000万ドルに達したという。当時、70%のシェアを確保したSymantecがこの市場をほぼ独占していた。
OneCareの販売は現在までのところ好調だ。NPDによると、同製品は発売されてから最初の2カ月間である6月と7月に米国小売市場で売上第2位につけたという。
OneCareは今のところ競合製品よりも安く販売されていて、7月の平均小売価格は34.02ドルだった。一方で、Symantecのセキュリティスイートは60.93ドル、McAfeeのセキュリティスイートは63.24ドルとなっていた。
Forrester ResearchのアナリストNatalie Lambert氏は、「Microsoftは市場参入に成功した。彼らの製品は競合各社より大幅に安く提供されている。今後、マーケットシェアは拡大していくだろう。これでセキュリティ製品の価格が全体的に低下していくことは確実であり、McAfeeをはじめとするライバル各社はさまざまな脅威に対応するセキュリティ製品の提供を余儀なくされた」と述べている。
Microsoftは新しい市場への参入に常に成功しているわけではない。たとえば、Microsoftが2005年9月に「Small Business Accounting Software 2006」を擁して参入した中小企業市場では、いまだにIntuitがトップに君臨している。しかし、Microsoftのセキュリティ市場への参入については、競合企業は油断すべきでないとSwenson氏は述べる。「Microsoftは適切な製品構成を用意した」と同氏は語っている。
Microsoftは、自社製品のセキュリティが不十分であることでたびたび非難され、セキュリティの改善に約5年前から取り組んできた。同社はセキュリティ業界で著名な人物を採用し、現在では、これまで他社任せだったWindows PC用セキュリティ製品を販売するに至っている。
OneCareは、Microsoftがウイルス対策市場参入を発表してから3年後の2006年5月下旬に米国小売店で発売された。同製品は、ウイルス対策、スパイウェア対策、そしてファイアウォールの各ソフトウェアを、Windows PC用のバックアップ機能や複数のチューンアップツールと組み合わせたものだ。
OneCareの発表を受け、SymantecとMcAfeeの両社は自社製品を魅力あるものにしようと、かつてないほど多くの機能をバンドルして提供する作戦に出ている。
McAfeeは8月1日に新しい製品ファミリを発表している。定価39.99ドルの最もベーシックな「VirusScan Plus」に同社は初めて、ウェブ検索の安全性を高める機能や、ファイアウォール、PCメンテナンスツールを組み込んだ。
「McAfeeは本格的にMicrosoftに対抗するため、価格を見直し、製品ラインアップも刷新した」とSwenson氏は述べる。
市場リーダーのSymantecは9月に、Nortonのアップデート製品を発売する予定だ。同社はまた、「Norton 360」の開発にも取り組んでいる。同製品には、Symantecのセキュリティツールや、PCの最適化ツール、バックアップツールといった現行製品のコンポーネントが統合されるようになる。Norton 360は、2007年3月末までに出荷される予定。
セキュリティ機能ではないものの、OneCareにはライバル企業が対抗できずにいる2つの重要な特徴がある。それは、電話で無償テクニカルサポートを受けられるということと、追加料金不要で最大3台のPCにインストールできることだ。SymantecとMcAfeeは、電話サポートを有料で提供しており、複数のPCにパッケージをインストールするには追加料金が必要となっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」