連邦政府内でのRFID(無線ICタグ)技術の使用が増加する一方で、政府機関はプライバシーが侵される危険性について真剣に考えていないと、米会計検査院(GAO)が警告を発した。
GAOが米国時間27日に発表した調査結果によると、米政府の主要13機関が既にRFIDを使用している、または、使用を計画しているという。しかし、RFIDで従業員の動きをトラッキングすることを認めた組織が3機関あったにも関わらず、法的およびプライバシー上の問題を認識していたのは、わずか1機関にとどまった。GAOは23機関を対象に調査を行った。
「セキュリティ上の主要な問題として、データシステムおよび情報システムの機密性、保全性、そして有用性をいかに守るかが挙げられる」とGAOは述べている。「プライバシー上の問題としては、消費者への告知、個人の動きのトラッキング、個人の習慣/嗜好/傾向のプロフィール化、情報の二次使用への考慮をどうするかが挙げられる」(GAO)
RFIDには、高速道路の料金所で使用される電池内蔵の「アクティブ型」や、1ミリメートルの何分の一という近距離での交信が可能な「パッシブ型」などの種類がある。米政府機関では、パッシブ型RFIDの実験を既に開始している。計画中、あるいは使用中の用途には、国防総省による出荷物の管理、国土安全保障省による移民や手荷物の管理、国務省による電子パスポート、在郷軍人局による「処方せん音声リーダー」などが含まれている。
さらに、「Real ID Act」に基づき、国土安全保障省は、RFIDを搭載可能な標準化された身分証明書の作成を担当している。
プライバシーの問題は、RFIDを倉庫内の荷物のトラッキングに使用するくらいでは、ほとんど発生しない。しかし、RFIDチップを身分証明書に埋め込むなど、個人情報との関連性が高まる時、プライバシー侵害の危険性が劇的に増加するとGAOは警告している。
調査では、「消費者は、体質や既往歴などの個人情報が、集められたデータの中から流出することを心配している。また、こうした個人情報がもとで、保険加入や雇用の拒否につながることを心配している。例えば、市販薬や処方薬のトラッキングにRFID技術が使われた際は、大きな論争が起きた」と述べている。
カリフォルニア州議会は5月に入り、運転免許証を含む同州発行の身分証明書へのRFIDタグの使用を禁止する法案を可決した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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