米国では、運転免許証、学生証、パスポートに電子認証技術を組み込むことの利点に関する議論が全国規模で展開されている。そして今、カリフォルニア州議会でもこの問題が議論されている。
カリフォルニア州では、ID文書での電子機器の使用を厳格に制限する法案が議会に提出された。同法案の対象になるのは、州が発行するID文書全て。同法案は先週、同州の上院司法委員会において6対1で承認された。この法案の発案者である同州上院議員のJoe Simitian(パロアルト選出、民主党)によると、米国ではこれまでにID文書での電子機器の使用を制限した法案が提出されたことはないという。
同法案を支持する全米自由人権協会(ACLU)や電子フロンティア財団(EFF)などは、RFID(無線ICタグ)と呼ばれる技術の使用を野放しにすれば、人々のプライバシーは踏みにじられ、ID窃盗が増加しかねないと主張する。
Simitianは、「RFID技術を政府発行のID文書に使用することの妥当性について大きな懸念を抱いている」と述べた上で、「ある種の制限を設けるのが当然だろうと考えた」と付け加えた。
Simitianは、カリフォルニア州の州都から40マイル離れたサターにあるBrittan小学校が、保護者や生徒らの反対を受け、生徒たちに電子IDバッジを持たせる計画を中止したのを受け、2005年2月にIdentity Information Protection Act of 2005(ID情報保護法)を提出した。同小学校のケースは、全米中のマスコミが大きく取り上げた。
「サターでの出来事を考えると、ID文書へのRFID導入問題の深刻さを痛感させられる」と語るのは、北カリフォルニアに拠点を置くACLUの技術/市民の自由担当ディレクターNicole Ozerだ。
Brittan小学校は、授業への出席率の向上と校内のセキュリティ強化を図るため、7年生と8年生の生徒たちに電子バッジを配布した。RFIDに対しては、(家畜の追跡にも利用されているRFIDは)住民から人間性を奪う技術だ、との批判の声が上がっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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