Ericssonが次世代高速無線通信規格「LTE」を推進している。スウェーデンとノルウェーにおいて、現地の通信事業者とLTEの商用サービスを始めたほか、KDDIを含む世界各国の事業者に、同社の機器採用を働きかけている。
世界初の商用LTEサービスは、スウェーデンのTeliaSoneraが2009年12月にスウェーデンとノルウェーで開始。EricssonはTeliaSoneraに通信機器を納入している。2.6MHz帯で10MHz幅の周波数を使い、これまでに300局ほどの基地局を設置したとのこと。場所によって異なるが、おおむね1〜40Mbpsの通信速度が安定して出ているとのことだ。
日本エリクソン最高技術責任者の藤岡雅宣氏によると、Ericssonは2002年ごろからNTTドコモらとともにLTEの研究を続けており、現在ではLTEのサービスに必要な特許の約4分の1を保有しているという。実験では20MHzの周波数帯4波を使い、1Gbpsのスループットを実現している。
現在はNTTドコモと共に、国内でLTEネットワークの構築を進めている。LTEを導入する予定のKDDIにも採用を働きかけているとした。
また、LTEが現状、データ通信サービスのみに対応していることから、LTEネットワークを使って音声サービスを実現するための「One Voiceイニシアチブ」にも力を入れている。2011年第1四半期までには仕様を固める計画だ。
LTEのほか、HSPA Evolutionと呼ばれる技術もEricssonではサポートしている。日本ではイー・モバイルやソフトバンクモバイルが採用しており、イー・モバイルはこれを使って下り最大21Mbpsのサービスを提供している。
今後は利用する周波数幅を拡大することで42Mbpsまで高速化できるようにするとのこと。技術革新によりHSPAの高速化を進め、LTEと並行して通信事業者に機器を提供していくとした。
なお、総務省の情報通信審議会では現在、アナログテレビ放送や第2世代携帯電話(PDC)の終了に伴って空く700MHz帯と900MHz帯の利用方法について議論がなされている。これについてEricssonでは、「日本で700MHz帯と900MHz帯に対し(LTEなどの)通信免許が下りた場合は、日本向けに機器のカスタマイズをする。ただ、できるだけ国際的なハーモナイズ(国際標準に合わせること)を推進したい」(日本エリクソン代表取締役社長のフレドリック・アラタロ氏)とし、日本だけ独自の仕様にならないようにしてほしいと訴えた。
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