コミュニティエンジンの中嶋謙互氏は、2週間以内で作ったという大人数参加型ロールプレイングゲームを紹介。実際に披露されたのはダンジョンの様子で、プレーヤーが壁に穴を開けて新しい道をつくることができ、それによって敵や自分の撃った弾丸の動きが変わるというもの。プレーヤーの動きがゲームの世界に影響を与え、それがほかのプレーヤーなどの動きに影響を与えることで自動的に新しいものが生まれていく世界を目指している。
ユビキタスエンターテインメントからは、近藤誠氏がテーブル型のマルチタッチ入力デバイス「UE Surface」(仮称)を紹介。ガラスのテーブルに投影された映像に触れて画面操作をするというもの。「認識精度は4割程度」と課題は多いが、近藤氏が学生アルバイトで、実質6日間程度で作り上げたと明かすと会場からは驚きの声が上がっていた。
このほか、アイラボの伊藤剛氏はauの公式サイトでなくても携帯電話のGPS情報を活用できる方法を紹介。アイビス神谷栄治氏は試作した音声認識システムを披露した。ビサイドの南治一徳氏は、PLAYSTATION 3でキャラクターの「トロ」と「クロ」がニュースなどを伝えるサービス「まいにちいっしょ」の画面作成に使用している、OpenOfficeベースの自作ツールを公開した。
ハードウェアを絡めたものでは、ロボエンジンの中野博文氏と二田政士氏が自作ロボット「EMMA-U0A(エマ・ユーゼロエー)」を紹介しながら、処理性能の限られたロボットではC++よりもアセンブリのほうが有利と持説を展開。コミュニティエンジンの芝尾幸一郎氏は、頭に装着したカメラで認識した映像を、輝度を元に別の映像に変換するシステムを披露した。
「天下一」と名乗る大会だけに、米国からはサイボウズ元社長で現在はLunarr CEOの高須賀徹氏が参加。ウェブアプリケーション「LUNARR」のコンセプトやサービス内容を紹介した。LUNARRは2008年2月7日に日本語版をベータリリースするという。
Preferred Infrastructureの太田一樹氏は、メモリアクセスをすべて把握し、使用状況を追跡する方法を披露。障害の解析や、複数台のメモリを1台のマシンから利用する手法などに応用できるという。これには大会参加者から後日「凄過ぎてやる気なくすわー」とコメントがついたほどだ。
早稲田大学の久保陽太郎氏は都市の音を拾って地図上にマッピングしたり、人の音声と合成したりするシステムを披露。ユビキタスエンターテインメントの鎌田淳二氏は、高齢者が使いやすいYouTube検索システムとして、黒電話と音声認識技術を組み合わせた「爺チューブ」を発表した。また、同じくユビキタスエンターテインメントの布留川英一氏はこれから面白いのは玩具を制御する「トイプログラミング」だとして、遠隔操作などのプログラムをデモンストレーションした。
後半のパネルディスカッションでは、「マイコンとロボットカルチャー」と題し、アスキーの遠藤諭氏、コネクトテクノロジーズの加来徹也氏、バンダイの芳賀義典氏、ロボエンジンの中野氏がロボット製品化の苦労や面白さについて語り合った。
遠藤氏は1956年生まれ、芳賀氏は1957年生まれの元マイコン少年。加来氏はかつて日本IBMで「ウルトラマンPC」と呼ばれた「PalmTop PC110」の開発に携わった。いずれも現在のコンピュータやロボットの礎を築いた、元祖コンピュータカウボーイとも言える人たちだ。
4ビットマイコンの価格が10万円という時代にCPUを手作りしたという思い出話などを披露しながら、ロボットは採算化が最大の課題という点で意見が一致。今後については「子供と一緒に育っていくようなロボットを作りたい」(芳賀氏)、「知性の面でも人間と違う進化が出てくるのでは」(加来氏)、「まず形から入るのではなく、思想性のようなものが必要」(遠藤氏)、「ネットワークの先にあるものを実際に動かせる、web 2.0の先の新しい世界が生まれるといい」(中野氏)などと話した。
大会終了後には、1990年代からネットワークゲームの開発者として名をはせたBio_100%のalty氏主催、有限会社デジほん後援による「alty party 2007」が開催。「自分が若いときに、上の人にいろいろご馳走してもらった恩を返したい」として、150名以上の参加者に無料で食事や飲み物、クリスマスプレゼントなどを提供した。会場では若手の開発者が多く集い、技術談義に花を咲かせていた。
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