オンラインオフィスソフトの分野の競争はなにもGoogleとMicrosoftに限った話ではない。Googleがプレゼンテーション機能を追加した「Google ドキュメント」を公開すれば、Microsoftも「Office Live Workspace」で対抗するなど、両社のサービスラッシュが続いているが、実はすでに16種類ものオンラインオフィスおよびコラボレーションツールを揃えるサービスがある。
米AdventNetが提供する「Zoho」は、ワードプロセッサー「Zoho Writer」、表計算「Zoho Sheet」、プレゼンテーション「Zoho Show」をはじめ、CRMツール「Zoho CRM」、ウィキ「Zoho Wiki」、タスク管理「Zoho Plaaner」、グループウェア「Zoho Mail」など、オフィススイーツからCRMまで多様なソフトウェアをオンラインで提供している。個人利用は無料だ。
10月5日には日本語版を運営するアドベントネットがZohoシリーズユーザーの交流会「Zoholics!2007」を開催した。冒頭のデモでは、オンラインスクラップブック「Zoho Notebook」やデータベース構築ツール「Zoho Creator」によるマッシュアップ例などが紹介された。
Zoho Notebookは、興味を持ったウェブページの内容をそのまま切り出し、それらを自由に組み合わせて自分専用のポータルサイトを作成できるツールだ。
例として示された宮崎情報を集めたスクラップブックは、地方新聞のRSSフィードやイベントカレンダーのほか、航空会社の空席紹介、天気情報を組み合わせたものだった。
マッシュアップというと複数サービスのAPIをプログラミングコードによって結びつけるイメージがあるが、Zoho Notebookを用いることで誰にでも手軽にマッシュアップが実現できるという。
一方のZoho Creatorは、データベースを利用したアプリケーションをプログラムレスで構築できるサービス。Zoholics!2007の参加応募フォーム自体も、Zoho Creatorで作成されたものだという。
アップルのiPhoneが登場してまもなく同製品上で動く「iZoho」が発表されているが、iZohoにはZoho Creatorも含まれており、ウェブアプリの作成もiPhone上から行える。
データベースを扱うサービスとして、10月3日に発表されたばかりの「Zoho DB & reports」もあわせて紹介された。
こちらはCSVデータなどをインポートし、ピボットテーブルを始めとした分析ができるツールだ。
続いて、「Zohoがバーチャルソサイエティを変える」と題したスピーチが代表取締役の山下義人氏によって行われた。
まず、Zohoサービスの日本語化だが、現在発表されているサービスについては今年中にすべての作業が完了する予定だという。個人利用であれば今後も無料のまま提供される。
ただし、より高度なパーソナルユースについては、Zoho Business、Personal、Educationという3つのメニューを提供し、課金を行う方針であることが発表された。
では今後、Zohoはどのようなサービスを目指して進化するのだろうか。
「グループウェア的な要素と、インターネットにおけるWindowsのエクスプローラ(ファイル管理ツール)の機能を併せ持ったサービスを作っていきたいと思っています。」(山下氏)
山下氏はSNSに対比させ、あえて「CUG」(Closed User Group)というキーワードを持ち出す。CUGというのは、許可されたメンバーだけがアクセスできるコミュニティのことで、主にパソコン通信で使われた用語だ。家族で作るCUG、趣味のテニスサークルで作るCUG、職場のCUGというように、1人のユーザーは複数のCUGに属することになる。
Zohoにログインすれば、自分が作成したデータをそれぞれのCUGで手軽に利用できることを目標としているという。これはZoho自体がSNSになるということではなく、SNSなどと連携するプラットフォームの構築を目指すということのようだ。米国ではすでにFacebookの友人間でドキュメントを共有できるアプリケーションを提供している。
どのようなCUGからでも、さらにモバイルやPCといったデバイスも問わず、シームレスに同じデータを利用できること。それがZohoの差別化ポイントであるという。
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