毎年、ラインアップと機能・サービスの強化が図られている携帯電話。それら携帯電話の新しいサービスを支えるテクノロジを持っている企業がある。アクロディアとPicsel Technologiesである。
New Industry Leaders Summitの「モバイルソフトウェアの動向と今後」と題したパネルディスカッションで、2社の代表取締役が今後の携帯電話を支える次世代のテクノロジについて語った。
アクロディアは携帯電話の使い勝手を左右するユーザーインターフェース(UI)を主軸に、携帯電話の新しい市場を開拓している企業だ。
「携帯電話は、子供からシニアまで幅広いユーザーを抱えています。しかし、使い勝手の部分は進化していません。メーカーが作ったUIをユーザーが覚えて使っているのが現状です」と、アクロディア代表取締役社長兼CEOの堤純也氏は語る。
確かに現在の携帯電話はカスタマイズの幅も狭く、多くのユーザーが「使いやすい」と思える状況とはほど遠い。また、メーカーごとにUIが異なるため、機種変更するたびに使い方を1から覚え直さなければならないといった課題もある。もちろん、UIを活用し、ユーザーを囲い込みたいというメーカーの意図もあるのだろうが、ユーザーの視点からすると利便性の低い状態にある。だからといって、子どもからシニアまでが全員使いやすいUIを追求しても「結局誰にもマッチしていないものになる」(堤氏)という壁に当たるのだ。
そこでアクロディアは、さまざまなUIを用意し、ユーザーが自由に「切り替え」られる仕組みを提供している。つまり、UIを切り替えることで、1台の携帯電話でも子どもやシニアといったユーザーそれぞれに特化した使い勝手が実現できるのだ。メニューの並び方だけでなく、UIの構造自体を変更できるため、1台の携帯電話で幅広い世代に対応することも容易だ。
「例えば、海外出張が多いユーザーであればグローバルローミング機能は必須でしょうが、海外に行かないユーザーであればこの機能は不要です。このように、ユーザーごとに適切なUIを提供する仕組みを提案しています」(堤氏)。
堤氏が提案するのは、ユーザーの携帯電話の操作ログを取得し、その情報を元にUIを変化させていくというものだ。ユーザーの使い方から操作画面が自動的にカスタマイズされるようになる。さらに、この操作ログをサーバなどにアップロードし、情報を分析することで、キャリア側のUIの改善も容易となる。また利用されている機能、利用されていない機能も正しく把握できるようになり、ユーザーへのサービス提供の情報としても活用可能だ。操作ログを活用することは、ユーザー、キャリア、コンテンツ制作会社それぞれにメリットのある提案となる。
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