Microsoftの最近の動きを見る限り、同社のデスクトップ製品の機能をウェブベースに移行する試みは、実現までまだ時間がかかりそうだ。
Microsoftは米国時間6月27日、2つの新しい「Windows Live」サービスを発表した。1つは写真共有サービスの「Windows Live Photo Gallery」、もう1つはオンラインストレージサービスの「Windows Live Folders」(仮称)だ。2つのサービスは、まだ非公開テストの段階だが、ウェブサービスを強化しようとするMicrosoftの新たな取り組みが始まったことを表わしている。しかし、同時に、その取り組みがまだ初期の段階にとどまっていることを示すものでもある。
特にWindows Live Foldersは、Yahooの「Yahoo Briefcase」やAOLの「Xdrive」など、数ある既存のオンラインストレージサービスと違いがない。確かにストレージはウェブベースのサービスにおいて主要な構成要素ではあるが、そうしたものでさえ、今になってようやく、しかも非公開という形で発表されているだけだ。一部にはWindowsの機能をそのままインターネット上で提供する、いわゆる「クラウド(cloud)OS」ををMicrosoftがひそかに準備しているとの意見もあるが、こうした現状を見る限り、仮にクラウドOSが本当に計画されているとしても、Microsoftはいまだにその基礎的な部分にしか手をつけていないように思える。
さらに言えば、同社がそこまで遠大な目標を掲げているのかさえ、そもそもはっきりしない。
調査会社Directions On Microsoftでアナリストを務めるMatt Rosoff氏は次のように語っている。「Microsoftが全面的にウェブサービスの方向に進んでいくという意見もあるが、これにはどうも納得できない。同社にとって、そういった動きが必ずしも必要というわけではないと思う」
Microsoftは、同社の「Software plus Service」戦略について、デスクトップ上にあるあらゆるものを拡張するが、これがオンラインサービスに置き換えるわけではないと語っている。Rosoff氏は、これがMicrosoftにとって「第1の計画」のようだと述べる。ただし同氏は、Microsoftが次善の策を準備しているという考えを捨てていない。
「おそらく、今から10年後には(中略)Windowsはドライバのセットとシェルの形になり、大半のアプリケーションはオンラインに移行する。これは十分あり得る話だ。ただし、Microsoftは、どうしても移行する必要が生じるまでは動かないと思う」(Rosoff氏)
それよりは、現在デスクトップ上で処理されている機能のうち、一部がオンラインに移行する可能性の方が高いとRosoff氏は言う。
「Microsoftは今、PCの一部の機能に取って代わると思われるサービスを少しずつ増やしているところだ」とRosoff氏は述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」