Adobe Systemsが4月に発表した「Adobe Media Player」(AMP)はオフラインでFlash動画を再生可能なソフトウェアとして話題を集めた。1日に都内でAMPの説明を行った同社Dynamic Media担当Group Product ManagerのCraig Barberich氏は、「長らく望まれてきたインタラクティブTVが、インターネットを使ってついに実現できるようになる」と、コンテンツの再生だけでなく、広告配信からコンテンツ課金まで様々なマーケットの可能性を語った。
AMPではFlashコンテンツの前、後、途中に広告ストリームを流すことができるほか、「Bug広告」といわれる、コンテンツに対するオーバーレイ広告も可能となっている。Bug広告はコンテンツに対してピクチャ・イン・ピクチャの形で広告をかぶせるものだ。視聴者に対する高いアウェアネスが期待できる。どのコンテンツ対してどのタイミングで広告を出すかといった指定はW3C標準規格のSMILで行なわれる。
また、コンテンツ内をクリックできるというFlashの特性を利用して、登場人物の着用するジャケットをクリックするとそのジャケットの購入ができる、といったホットスポット型の広告も可能となる。こちらはリードが期待できるだろう。
こうした広告は、AMPの特徴であるオフラインでのコンテンツ再生の際にも表示させることができ、利用トラッキングやレポーティングにも対応する。トラッキングにはクッキーが利用され、視聴者によるオプトアウトも可能だ。また、DoubleClickやYahoo!、Googleなど既存の広告配信インフラもサポートする。
こうした新しい形の広告にはそれに対応する「素材」が必要だ。コンテンツパブリッシャーだけでなく、広告代理店やクリエイション製作会社なども巻き込んで新たなエコシステムを構築していく必要がある。この点でAdobeは有利な立場にある。PhotoshopやIllustrator、Premireという製作環境からFlashのオーサリングツールやビデオエンコーダーでデファクトスタンダードの地位を築いているからだ。一方で配信サーバであるFlash Media Serverについてはこれから、というところだ。現在、AdobeではAkamaiをはじめとする配信パートナーの獲得やコンサルティングなどを行うパートナー育成プログラムを行いながら環境を整備する。
グローバルでは2007年10月、国内では2008年の早期にリリース予定のAMP、エンドユーザはもちろん、コンテンツパブリッシャーもその可能性に期待したい。
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